北朝鮮にとっての和平とは、次の闘いのための準備です。いったん和平を口にしたからといって、今までやってきたことを全て取りやめるおめでたい国ではありません。これは米国も同様です。
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米韓両軍は、4月1日から約1カ月間、朝鮮半島有事を想定した定例の合同軍事演習を行った。今年の演習は、昨年に比べて期間、規模とも縮小。南北首脳会談や米朝首脳会談を控え、北朝鮮への刺激を回避する配慮がうかがえた。
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期間や規模の縮小は韓国の意向をくんでのことですが、その代わりに米軍は、日本の基地を使って必要な訓練を行いました。東京の横田基地でC130輸送機からのパラシュート訓練を行い、原子力空母艦載機約60機を神奈川県の厚木基地から山口県の岩国基地へ移駐させました。沖縄県うるま市の米軍ホワイトビーチには、2月以降、海兵隊員を乗せる揚陸艦の入出港が相次ぎました。米朝会談が不調に終わったあとの軍事オプションの準備であることは明らかです。
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米朝首脳会談に向けた両国の事前協議では、北朝鮮が、米国が求める手法による核の全面廃棄に応じる姿勢を示しているという。さらに、北朝鮮は核兵器の査察にも初めて応じ、大陸間弾道ミサイルの廃棄も行う意向だという。一方で、核廃棄に向けた期間や北朝鮮への見返りでは意見の違いが残り、協議や会談の行方によっては予断を許さない状況だ。
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米朝会談で金正恩が米国を満足させるほどの非核化の意思を見せなかった場合、トランプは本気で軍事オプションを取る構えを見せるはずです。それを見た金正恩が再度交渉に出てきて、譲歩の度合いを上げるのを待つ。「リビア方式」の完全実行は無理でも、北朝鮮国内の核を全て米国、少なくともIAEAの管理下に置かせる程度のところまで譲歩しなければ納得はしないでしょう。
このまま北朝鮮の核を容認してしまえば米国の世界戦略は崩壊します。トランプがやらなければならないのは、手を緩めずに追撃し、北朝鮮に核を完全に放棄させる作業です。金正恩が非核化の具体的行動を見せるまではアメを与えるべきではありません。交渉に入るにしても引き続き経済制裁と軍事的圧力を加え続ける必要があります。文在寅政権の「金正恩救出作戦」に惑わされて時間を与えれば、米国は取り返しのつかない敗北を味わうことになるでしょう。