6月12日に予定される米朝首脳会談を巡り、トランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長による主導権争いがヒートアップしている。とはいえ、気になる内情を探ってみると、パフォーマンスばかりの「エンタメ劇場」が開幕しそうな雲行きなのである。
早急な核の放棄を求めるアメリカに対して、北朝鮮は「段階的な非核化」を主張。双方が駆け引きを繰り広げる中、5月24日にはドナルド・トランプ大統領(71)が「会談中止」を書簡で伝達する事態となったが、その後も会談実現に向け、水面下の調整が続いている。
世界中の注目が集まる米朝首脳会談だが、その行方について、全国紙国際部デスクは苦笑する。
「実は日本の政府筋の間で『これはトランプと金正恩(34)による壮大な“プロレスショー”なのでは』と見る声が出ているんです。開催決定からずっと『やる』『やらない』でモメていますが、この状況は直前までルール策定でモメにモメた『猪木対アリ戦』のようです。実際にアメリカのメディアでも、今回の首脳会談開催を巡って、二転三転する動きをボクシングの『メイウェザー対パッキャオ戦のようだ』と皮肉る声が出ている」
世紀の会談がプロレスに例えられるとは突拍子もない感もあるが、トランプ氏といえば、かつて世界最大のプロレス団体『WWE』のリングに登場し、“疑惑の頭髪”を賭けた試合でマネージャーとして観客を熱狂させた過去もある。
「会談実施までドキドキする予断を許さない展開は、プロレス的なノリを熟知したトランプによる、アメリカ国内に向けた政治的アピールではないでしょうか。実際、大統領選でもプロレスの間の取り方とマイクパフォーマンスを意識した過激な言動で選挙戦をドラマチックに演出し、有権者をあおり、ついには当選を果たしていますからね」(国際部デスク)
トランプ氏の政治手法がそもそもプロレスの模倣と言わんばかりだ。とはいえ今回、トランプ氏がとりたててアピールの必要性を感じているのはなぜか。
「11月6日に行われるアメリカの中間選挙です。トランプとしては中間選挙で勝利するため、メディアを使ってアメリカ国民に自身の有能性を宣伝したい。そのために、注目を集める北朝鮮との交渉自体をエンタメ化することに躍起となっているんです。ビッグマッチまでに会見や前哨戦でドラマを積み重ねていくプロレスと同じ。インパクト大となる『金正恩と握手するシーン』をシンガポールで撮ってこようとしています。いずれにせよ、北朝鮮の非核化という完全な成果を出すのは一筋縄ではいかないですから、会談前から『強いアメリカ』のイメージを作り出すことを優先している」(在米ジャーナリスト)