阪神、中日との連戦をともに勝ち越し、ヨシノブ巨人が首位広島の追撃態勢に入った。昨季の今頃は球団史上ワーストとなる13連敗に踏み込んだころであり、今年は投打ともに戦力が充実していると見ていい。
「岡本(和真)の活躍が大きい。若手が活躍すると、チームは勢いづく」(スポーツ紙記者)
「もっと早くから起用していれば」の声も聞かれた。高橋由伸監督がようやく若手抜擢を決断できたのにはワケがあった。抜擢失敗後の“保証”も得たからだという。
「ナベツネこと渡辺恒雄氏はヨシノブの10年政権を考えています。ナベツネは昨年で球団の取締役最高顧問職を退きましたが、影響力は変わりません。長い目で高橋政権を応援するとわかれば、失敗の恐れもある若手の起用もしやすくなる、というわけです」(ベテラン記者)
高橋監督はベテラン阿部慎之助をスタメンで使う時、岡本に三塁を守らせている。岡本の覚醒を遅らせた一因に守備難があり、今後、不慣れな三塁守備が、好調な打撃にも影響しないとは限らない。さらに、
「巨人は内野の連携に関するサインは一塁手が出すんです。すでに岡本は守備による精神的負担を背負っているんです」(前出・ベテラン記者)
と、岡本は一塁を守っていても、精神的負担は変わらないようだが、高橋監督は、“長期政権”のもとで岡本に対しキツく当たることができるようだ。
さて、ナベツネが高橋監督の長期政権をサポートするということは、次期監督候補・松井秀喜氏が色よい返事をしていないという意味にもなる。だが、「松井監督」を夢見る関係者も決して少なくはない。チームが優勝を逃した時、フロントが松井派と高橋派で二分する危険性はある。ひょっとしたら、渡辺氏が高橋監督の長期化を早々と決めたのは、松井氏が巨人を捨ててメジャーリーグに挑戦した経緯をまだウラミに思っているからではないだろうか。いずれにせよ、岡本への厳しい育成は変わらない。
(スポーツライター・飯山満)