GMみずから“非情”と表現した大ナタが振るわれるのは、チームの支柱・阿部慎之助(37)に対してだ。背景にあるのは、大田泰示(26)のシーズン通しての外野レギュラー獲得。そして抜群の打撃センスがあるものの守備難の岡本和真(20)に、一軍の生きた球で成長してほしいという球団の思惑だ。球団関係者が明かす。
「そこで頭を悩ますのがファーストしか守れない阿部の存在です。岡本と守備位置がかぶっていて、もはや長打も少ない阿部のために外国人助っ人をレフトに据えなくてはならない。そうなると大田が使えなくなる。阿部の存在が若手起用を妨げているという考えのようで、代打に降格し、緩やかに干す予定です」
阿部は7月6日阪神戦で勝ち越し2点打を放つものの、V打は1カ月ぶり。打率2割7分8厘ながら本塁打3本を含め長打はわずか7本と、寂しい成績である。
「阿部はあと160本ほどに迫った、悲願の2000本安打を達成するまで引退する気はありません。フロントも、生え抜きの功労者の意思を尊重させてきた。阿部も達成まで自分の体にさえ気を遣っていればいいと踏んでいました」(巨人番記者)
キャンプ中から高橋監督は、「捕手・阿部」構想を打ち出した。しかし阿部本人は最近も、
「いまだに右肩が痛く、二軍で捕手練習をせずに上がったから不安」
と、まったくやる気を見せていない。
「監督の中で『ファースト阿部』は戦力の一部ではあるものの、特別扱いの対象ではありません。見切りをつけたようですね」(スポーツ紙記者)
主軸という自負がある阿部と、一戦力としか見ていない高橋監督の間に不穏な空気が充満。6月7日の西武戦でバントを命じられた際、試合後に阿部は親しい記者に、
「俺の信用はそんなにないの?」
と募らせた不満を漏らす。そして7月5日の阪神戦で事件は起きた。
「7回表二死満塁の場面に、守備固めで阿部が交代を命じられました。阿部は一塁ベース上で何度も自分を指さし『俺? 俺なの?』と困惑した顔を浮かべました」(スポーツ紙デスク)
試合後、阿部は、
「何考えてんだかわかんねーよ。落合監督かよ!」
と、不満を爆発させたのだ。
勝ち負け以前のガタガタなチーム状況の巨人。どうやらベンチ裏の怒号は、シーズン終盤まで収まらないようである。