今年も始まったプロ野球キャンプには危険がいっぱい。猛アピールする選手たちと首脳陣の駆け引き、生き残りを賭けたライバルとの激突、そしてハプニングに舌禍も──。踏んではいけない地雷が点在するプレシーズン・バトルを観戦!
2月1日にスタートした12球団春季キャンプ最大の話題といえば、松井秀喜臨時コーチ(39)の登場で騒然とする巨人である。何しろ渡辺恒雄球団会長(87)が次期監督に「指名」しているだけに、選手たちも「そのつもり」で松井コーチに接しているのだという。スポーツ紙デスクが明かす。
「将来の幹部候補生とされる高橋由伸(38)と阿部慎之助(34)に『ポスト松井』をニラんだ動きが出ています。松井氏とプレーした経験があってまともに話ができるのは高橋ぐらいでしたが、そこに阿部が急接近。昨年12月には対談企画で渡米し、親密度を増しています。原辰徳監督(55)は2年契約、そのあと『松井監督』が5年間指揮を執るとすれば、7年後になる。その間に高橋と阿部のどちらが主導権を握るか。そのバトルが今キャンプでスタートしています」
バトルといえば、昨年は制球難などで先発失格の烙印を押され、中継ぎに回った澤村拓一(25)と原監督も、火花を散らしている。
「原監督はあくまで先発にこだわる澤村に対し『もう一度(先発に)挑戦させる』と話していますが、少なくとも川口和久投手総合コーチ(54)の頭の中にその計画はありません。中継ぎに適性があると見ているからです。よほどキャンプでしっかりした内容と結果を残さないと先発復帰は難しい」(巨人担当記者)
そもそも内海哲也(31)、杉内俊哉(33)、菅野智之(24)、大竹寛(30)、韓国最多勝の新外国人セドン(30)で、すでに先発枠が埋まっているとされ、
「川口コーチは『5人で中5日で回すかも』と言っている。6人にするにしても、今村信貴(19)、宮國椋丞(21)、小山雄輝(25)ら伸び盛りの若手を使いたい意向です。澤村はただでさえ評価されていないのに、先発挑戦がウソ手形だったと気づけば、原監督への猛反発は必至です」(球団関係者)
その原監督の「野手陣のレギュラーは白紙で」の言葉に、シラケたムードが漂っているという。前出・巨人担当記者は苦笑してこう言う。
「昨年は阿部、村田修一(33)、長野久義(29)、坂本勇人(25)の4人をあげて『枢軸』などと言っていたのに、今年はそこに片岡治大(30)、井端弘和(38)の他、新外国人アンダーソン(31)も獲り、ズラリとレギュラー候補がそろった。若手からは『俺たちは何をアピールすればいいんだ?』と冷めた声が上がっています。なのに原監督がやたらと『横一線』を強調するのは、片岡が移籍会見で『二塁を空けて待っていると(原監督に)言っていただいた』と、レギュラー確約をポロリしてしまったことへの火消しの意味もあるからです」
やがて大きな不協和音に発展しそうな勢いなのだ。