だが、容疑者逮捕の報を受けても依然として、珠生ちゃんが通っていた小学校周辺は厳戒態勢が続いている。地元記者が明かす。
「小林容疑者の逮捕前にニュースでも報じられていた、珠生さんに事件当日に声をかけたという『黒ずくめでサングラスをかけた男』がそもそも捕まっていません。8日にはこの男と同一人物の可能性もある『黒い服の男』が、下校中の女子中学生を見つめてブツブツ言っていたトラブルも発生しています。また9日にも、女子中学生3人が男に追いかけられたという不審者情報があとを絶ちません」
さらには、事件発生直後に報じられた「怪しい白い車」の正体もいまだわからず。生まれてからずっとこの町に住むという50代の女性も、まだ別の不審者がいると訴える。
「一時期、駅の周辺で誰かを待ち伏せしているような挙動不審の30代男性が毎日、いました。知り合いの娘さんはこの『ストーカー男』に数百メートル追いかけられて腕をはたかれたそうです。踏切の北側に、平日の昼間から怪しげな『黒いマスクのひげ男』が徘徊しているところも何度も見かけました」
しかも、事件以前から複数の不審者の目撃情報が次々報告されていたというから始末が悪い。いずれも未解決だ。
「事件現場にほど近いJR小針駅を中心とした1、2キロの範囲内に『女児ばかりに声かけする50代の野球帽をかぶった男』や、『サバイバルナイフのような刃物を持って歩くボサボサ髪の男』など、きわめて怪しげな不審者の情報が多数寄せられていて、住民は一向に枕を高くして眠れない状況です」(地元関係者)
突如クローズアップされた新潟市郊外での不審者情報。新潟県警の子供女性安全対策課の担当者に話を聞くと、
「平成29年度に県警が確認した、声かけやつきまといなどで住民に不安を感じさせるような不審人物の報告は、県全体で680件ありました。そのうちの約20%に当たる147件については行為者を特定し、注意、指導をしています。(珠生ちゃん殺害事件の捜査本部がある)西署の管内についても8件の指導を行いました」
捜査当局としては水際作戦を繰り広げているというが、幼児や児童をつけ狙う変質者は神出鬼没と言っていい。さらに新潟県警ならではの取り組みとして、事件の発生や不審者情報を配信する独自のメールシステムもあるという。生活安全企画課の担当者が語る。
「不審者だけでなく、振り込め詐欺のような特殊詐欺の発生・詳細など、さまざまな情報を配信しています。住民への注意喚起になれば」
そして珠生ちゃん殺害事件を受けて、特に児童の登下校への見守り活動に力を入れ始めたともいう。この担当者が続ける。
「各地域での見守り活動員の方々が高齢化で減ってきているのが現状ですので、県警OBの方にも協力を要請し、参加していただいています。また、5月11日から、急きょ県警の車両を『いどうこうばん』と名付けて、見守り・パトロールに使用しています。新潟県では初めての試みなので、どんどん周知してもらい、何かあればすぐに声をかけてもらえるよう努めたい」
それでも不審者の特定や身柄の確保がないかぎり、住民の不安は払拭されそうにない。