それにしても、新潟県だけが突出した不審者出没地帯というわけではない。そうした中で、注目を集めているのが「ガッコム安全ナビ」。日本全国で警察や自治体が発信する事件や事案、不審者情報など27項目について地域の治安状況を地図・アイコン・アバターで一覧できる。いわゆる「不審者・変質者データベース」だ。サイトを運営する「ガッコム」代表取締役社長の山田洋志氏によれば、
「現状では、警察などからの情報をもとにしているサイトの性格上、発信に力を入れているかそうでないかの地域差が出てしまい、全国的に見て不審者が発生しやすい地域はどこか、ということを申し上げるのはなかなか難しい。ですが、例えば今回であれば『新潟市内での分析』のように特定の地域内での傾向をうかがうことはできます。それで言いますと、事件の起きた西区は、2年前には市内全域の10%にも満たない報告数でしたが、直近の1年間では50%以上に跳ね上がっています。しかも事件発生地である西区内の北側エリアにそれが集中していました。不審者が『増えてきている地域』と考えて間違いないと思います」
もちろん、「ガッコム安全ナビ」では都道府県別の治安状況も一目瞭然だ。東京23区を例に挙げれば、17年から「不審者」「声かけ」「子ども被害」の情報件数が100件以下なのは10区のみ。逆に200件を超えるのが目黒区、大田区、世田谷区、杉並区など11区に上る。『極端に治安が悪い区』のほうが多いのだ。また前述の3項目に限っては、繁華街よりも広範囲の住宅街を擁する区の治安が悪い傾向が見いだせる。
中でも突出しているのは足立区だ。同サイトは1項目につき最新の100件が表示される仕様で、足立区では3項目が全て17年途中からの表示に。発生件数が表示件数を追い越しているのだ。なんと、18年だけでも150件以上を記録しているから驚くばかりだ。
「各地における治安情報発生の傾向を知っておくことは、事件を未然に防ぐと同時に、犯罪者に対する抑止にもつながります。不審者はやはり、人口密集地帯に多く見られ、都心近郊のベッドタウンのような街では注意が特に必要。発生時間は夜間帯よりも日中のほうが多いです。子供向けの事件は7時から9時、15時から18時という登下校の時間帯に全体の3分の2以上が集中します。弊社としても今後、取り扱う情報・地域の拡充を進めるとともに、不審者の特徴や駅・学校からの距離での発生件数の濃淡などをさらに詳しく分析・発信していきたいと考えています」(山田氏)
子を持つ親ならば、新潟女児殺害事件を他人事と思えないだろう。隙あらば幼児を狙う不審者対策は、もはや警察頼みだけではなく、自衛策も講じる時代になっているのだ──。