指揮官には絶対に口にしてはならないひと言がある。「信用していない」、名指しでそんなふうに言われたら、「やってらんねえよ!」となるもの。虎ベンチは、金本知憲監督の“失言”で崩壊寸前だという。
6月5日、関西ダービーとも称されたオリックスとの交流戦第一ラウンドで、阪神は惜敗した。ポイントは1点を追う5回裏だった。一死三塁、金本知憲監督は代打・北條にセーフティスクイズのサインを出したが、失敗。次打者・植田にも同じくセーフティスクイズを指示したが、こちらも失敗した。試合後、金本監督の怒りは頂点に達し、「あの2人(北條、植田)が決められないで、ふだん何をしているんだ!? 特に植田は自分がどういうタイプなのか、どういう仕事を与えられているのか、わかっているのか? 打撃を信用して起用しているんじゃない!」とまで言い放った。植田は「守備の人」のイメージも強いが、この監督談話を伝え聞いたチーム関係者、選手たちは自分の耳を疑った。
「メディアの前で、“選手を信用していない”なんて言うか!?」
はっきり言って、阪神ベンチは雰囲気が悪い。「空気が重い」と言うべきか、選手はグラウンドではなく、金本監督のほうを見てばかりいる。失敗を恐れ、ビクビクしているからだが、頭角を現していた若手が2年続けて活躍できない原因はこのへんにありそうだ。
「阪神グループは株主総会を控えており、この調子では、近年出ることのなかったタイガース批判が出るのではないかとビクビクしています」(在阪記者)
チームのプラス材料は、ベテラン能見の中継ぎ転向が成功したことだけ。金本批判がいつ噴き出すか。虎ベンチは不穏ムードいっぱいである。
(スポーツライター・飯山満)