阪神に“内紛勃発”の危機が迫っている。金本知憲監督(48)と主将・鳥谷敬(34)が一触即発の状態に陥っているというのだ。
5月17日の中日戦、9回一死一塁で遊撃後方の何でもない飛球を鳥谷がまさかの落球──。この致命的なミスが敗戦に結び付いた。試合後の金本監督は報道陣の目の前で「フライが捕れんと野球にならん! 恥ずかしいし、ありえない。高校生に笑われるわ!」と激怒。それだけでは終わらず、実は試合終了直後もベンチ裏で鳥谷本人に直接カミナリを落としていたという。
「『ナメとんのかあっ!』という監督の怒声が響き渡っていましたよ。あんなに怒った監督を見たのは現役時代を振り返ってみても、ほとんど記憶にありません。一方のトリは『すいません』と口にするのが精いっぱい。ただ相変わらず無表情のままだったから、まるで“右から左”のような感じで‥‥。本当に聞いているのかなという印象さえ受けましたね」(球団関係者)
金本監督がブチ切れてしまうのも無理はない。プロ13年目を迎えた今季の鳥谷は、ここまで攻守ともにパッとしないからだ。失策数はリーグ2位の7(6月3日時点、以下同)。打撃に関しても打率2割4分6厘と調子が上向かず、金本監督は何度となく打順変更の“カンフル剤”を注入。開幕は6番スタートで、その後は1、2、3番と猫の目のように変更し、ついには7年ぶりとなる8番まで降格させた。チーム内からは「さすがにやりすぎなんじゃないのか」「トリのプライドがズタズタになった」などと鳥谷に同情する声がチラホラ出ている状況だ。
金本監督は、なぜ鳥谷にここまで厳しいのか。トラ番記者はこう打ち明ける。
「金本監督は昨オフ、坂井信也オーナーから就任要請を受けた際、『チームをどんどん改革してほしい。ぬるま湯の体質を一掃し、戦闘集団に作り変えてくれないか。若手を積極的に起用し、ベテランたちのケツを引っぱたいてくれ』とじきじきに頼まれている。その言葉の中には『近年、ユルフン気味の鳥谷の意識改革』も含まれていたそうです。オーナーからのお墨付きを得ているからこそ、金本監督は今季のスローガンを『超変革』とし、不振から抜け出せない鳥谷にも遠慮なく非情采配を振るい続けている」
だが、当の鳥谷は一向に目を覚まそうとしない。その“予兆”は開幕前からあったようだ。
「開幕前の春季キャンプ中、金本監督が鳥谷に主将続投を要請し『トリ、オマエも“超変革”しろよ。頼むぞ』と言ったのですが‥‥。鳥谷は苦笑いを浮かべながら『変われって言われても、自分はもうオッサンですからねえ』とボヤいた。思わず金本監督は、その場で無言のまま固まってしまったそうです」(前出・球団関係者)
振り返れば、もともと両者は“水と油”だったのかもしれない。金本監督が熱血漢で叩き上げの努力型であるのに対し、鳥谷は感情を表に出さないエリートタイプの天才型だ。
「03年、阪神リーグ優勝時のビールかけで、当時ショートでレギュラーだった藤本に金本が『これをつけろ』と手渡したのが『打倒・鳥谷』と書かれたタスキ。その年のドラフト自由枠で阪神入りが“内定”していた鳥谷を意識し、同じポジションでかぶる後輩をけしかけてやらせたパフォーマンスでした。新人の頃から努力と根性でのし上がった金本は、六大学野球で三冠王に輝いたアマのスーパースターを入団前から意識していたのかもしれない。実際、鳥谷は阪神入団直後の数年は結果が出なくても、岡田監督から優遇されてショートでレギュラー起用され続けましたからね」(スポーツ紙デスク)
一部からは「金本監督は自分と同じ“連続フルイニング出場記録”を続ける鳥谷を認めている」との声も出てはいるが‥‥。両者の“冷戦”修復が、阪神浮上の鍵を握っていそうだ。