金本阪神は早々に「来季の開幕投手」を内定させた。藤浪晋太郎だ。9月16日のDeNA戦では今季最多の20得点で快勝したが、翌日の同カードは敗退。打線が継続して爆発しなければ、このまま最下位でシーズンを終える可能性も出てきた。そんな金本阪神が来季の開幕投手にまで話が及んだ理由は、一つ。危機的状況にありながら、OBたちの強力を得られないからだ。
「フロントは基本的には金本知憲監督を続投させるつもり。かといって、ドラフトや外国人選手の補強に関して、今までのように金本監督の意見がすべて通ることはないと思いますが…」(在阪記者)
3季続けて野手を1位指名してきたが、先発ローテーションはコマ不足状態で、勝ち星が確実に計算できる投手もメッセンジャーしかいない。若手を見てもローテーション入りが確実視できる成長株もいない。オフは投打ともに大量補強すると思われるが、OBたちが距離を置く理由はそこにあった。
「エースはメッセンジャー、打線の中心は福留と糸井。生え抜きの選手が脇役ではそうなるのも当然です」(前出・在阪記者)
OBたちがもっとも懸念しているのは、スランプが長引く生え抜き・藤浪晋太郎の今後だ。「彼が本調子なら、最下位なんてことはなかった」との声も聞かれた。伝統球団に恥じない負け方もあり、せめて、「エースは生え抜きで」の思いがOBたちには強いという。
つまり、来季も外様戦力中心のチームのままなら、金本監督は本当に“孤立”してしまう。藤浪開幕投手を内定することでそれが避けられるというわけだ。
終盤戦の連戦中、藤浪はコマ不足を埋める意味で先発登板する予定である。その結果にかかわらず、金本監督は藤浪と心中する覚悟を持たなければ、チームの再建は果たせないだろう。
(スポーツライター・飯山満)