自ら命を絶つ者まで出した財務省改竄文書問題は、このまま幕引きを図ってウヤムヤに──。いまだ残る、あらゆる疑惑の追及から逃げ続け、生き延びようとする安倍政権。野党はいったい何をしているのか。自民党政治を知り尽くす剛腕が、政治家としての完結と最終目標に向けた「動き」を独占激白した。
──もう、惨澹たる政治状況ですね。不祥事、疑念に終始するこんな通常国会は、私も見たことがない。まず、この現実をどう思われますか。
小沢 うんざりです。モリ・カケ問題にしても、安倍総理は強弁というか、ウソをついて総理の椅子にとどまっているというのが現状だと思います。権力者として、権力の行使に本質的に関わっている。普通なら内閣総辞職になるような状態です。
──安倍政治そのものへの評価はどうでしょう。
小沢 外交、内政とも、最初の掛け声とはまったく逆の結果になっています。外交は今、北朝鮮問題でトランプ大統領に接近しているけど、蚊帳の外状態。ロシアにも行きましたが、プーチン大統領を相手に領土問題もまったく進展が見られず、中身のない外交に終始しています。内政もまた、アベノミクスなるものが、結果として貧富の格差を拡大させている。安倍さんの新自由主義的な考え方、これは強い者の論理ですからね。政治あるいは政治家の考え方としては、根本的に間違っていると思います。
──財務省などが絡むモリ・カケ問題、防衛省の「日報」隠し、厚労省の不適切データ問題等々、これだけの不祥事、疑惑があって誰一人、責任を取る者が出てこない。これはなんとも異常です。
小沢 今の日本社会には異常な、あるいは利己的な、自分の利益さえあればいいという風潮がある。さらに安倍さんの行いがそれを助長するように、ウソをつこうが何をやってもいいんだと、ひたすら自分の立場にしがみつく形になっています。これが今後、日本社会にますます蔓延することになるのではないかと危惧しています。
──それにしても、そろそろモリ・カケ問題には「白黒」をつける必要があると思います。自民党あたりから「こんな話ばかりでなく、本来の政策論議をやれ」という声がある。当然ではありますが、少し違うんじゃないかとも思います。曖昧な形で幕引きとなれば怖いのは、「政と官」に「こうしたことは許されるんだ」という空気が残るからです。また、こうした問題が再燃しかねない危惧が残ります。
小沢 もう少し気概のある、意識の高い官僚が一人くらいいてもいいと思うけど、権力に恐れおののいて、言われるとおり、国民の財産をタダ同然で、安倍さんと親しい人に払い下げる。官僚の劣化が歴然となっているのが現実です。このままなら間違いなく、日本の将来に大きな禍根を残します。トップリーダーがこれでは、救いようがない。一刻も早く、決着をつける必要があると思っています。
◆聞き手/小林吉弥(政治評論家)