テリー 壇蜜さんは頭がいいから、「自分がテレビにどう出ていくか」ということにも自覚的だったと思うんだけど、どういうことを意識していました?
壇蜜 最初の頃は「とにかく、台本が予期できないことをできたらいいんだろうな」って思っていました。
テリー つまり、台本を裏切るということ?
壇蜜 というより、台本で求められていることを、いい意味でもう少し濃密なものにできればいい、と思いました。それはきっとテレビの世界では必要なことなんだろうし、それまでのテレビの現場は私みたいなタイプがいなくて、周りの皆さんが私の扱いに困っているのがひしひしと感じられたんですよ。だから「実際使ってみたら、意外にちゃんと扱えるでしょう?」という部分を出していこう、と。最初の頃は、それだけで精いっぱいでしたね。
テリー あ、それは俺もわかったよ。「サンジャポ」に出始めの頃、一緒に箱根へロケに行ったの、覚えてる? 風呂場で撮影の時、浴室にいる壇蜜さんにタオル1枚だけ渡して「こちらからドアを開けるので、セクシーな格好をして待っていてください」とお願いしたら、こっちの想像をはるかに超えた、いやらしいポーズをしていてね(笑)。もうビックリしてさ。
壇蜜 フフフ、覚えています。まるで打ち上げられたジュゴンみたいな感じでしたよね。
テリー そうそう。普通の女の子にやらせると、きれいで無難なグラビアのポーズで待っているんだよね。でも、あなたは実に隙だらけの格好だったでしょう、もう演出家の考えを超えているんです。だから、帰り道にスタッフと「あれ、すごかったな」って、ずっと話していたんだよ。
壇蜜 今日、私、めちゃめちゃホメられてばかりですね(笑)。
テリー きっと他の現場でも、スタッフが予想する以上のものを出してきたんだろうね。そりゃあ、仕事も増えるわけだよ。
壇蜜 やりすぎちゃって、逆に揉めることもあるんですけどね(笑)。結局、「サンジャポ」のそれも、コンプライアンスの関係で、“保険”で押さえていた、体にお湯をかけているのを背中から撮ったカットしか使ってもらえなくて。
テリー もったいないよなァ、あれこそが壇蜜さんのすごさなのに。
壇蜜 今は、それでもいいんじゃないかと思っています。やりすぎた分は削ればいいけど、ないものはそれ以上伸ばすことはできないので。
テリー まぁ、そうだね。しっかり結果も出したことだし、今の活躍はご両親も喜んでくれているんじゃないの?
壇蜜 どうなんでしょう。最初の頃は父とギクシャクしていたんですよ。
テリー そりゃまた、なんで?
壇蜜 父は最初、たまたま電車の網棚に置いてあった雑誌を手に取って、私の仕事を知ったんです。「この女性、娘に似てるな‥‥おいおい、脱いでるじゃないか!」と、家庭に衝撃が走りまして(笑)。
テリー あ、ヌードの仕事をお父さんに言ってなかったんだ?
壇蜜 はい。母は知っていて、どこかで伝えるつもりだったらしいんですが、結局、言えなかったみたいで。だんだんテレビの仕事が増えてきたおかげで、ようやく父とも仲直りができました。今は、父の地元からわざわざ羊羹を取り寄せて、番組のスタッフさんに差し入れてくれたりしますね。
テリー ありがたい話じゃない。きっと娘のことを誇りに思っているよ。