1970年代までは、集団の学園ドラマに制服の女子高生たちがにこやかに並んでいた。ところが80年代になると、より鮮烈な形で制服が意味を持った。
その原点にして、今も代名詞とされるのが「スケバン刑事」(85~87年、フジテレビ系)だ。桜田門の紋章が入った必殺のヨーヨーを武器に、初代・斉藤由貴、2代目・南野陽子、3代目・浅香唯がそれぞれ「麻宮サキ」に扮した。
〈スケバンまで張ったこの麻宮サキが、何の因果か落ちぶれて、今じゃマッポの手先。だがな! てめえたちみたいに魂まで薄汚れちゃいねえんだ!〉
決めゼリフは高知出身という設定の南野、宮崎出身の浅香でそれぞれ変わったが、セーラー服で派手なアクションというコンセプトは共通している。
「追随した『セーラー服反逆同盟』(86~87年、日本テレビ系)など、アイドルがセーラー服でアクションをやる元祖になりました。同時に、南野陽子や浅香唯のように、ここからスターになっていく過程も見せつけた」(アイドル評論家・織田祐二氏)
中学生の性の目覚めをコメディタッチで描いた「毎度おさわがせします」(85~87年、TBS系)も、同じタイミングの人気シリーズ。中山美穂演じるヒロインは、「お前ホウケーだろ」「(全脱ぎを)見たい? 見せてあげよっか?」など、過激なセリフを伝説のチラリショットとともに連発。
「ちょっと不良で、でも気立てはよく、一途で、性に積極的。嫌いな要素が1つもないヒロインです。セーラー服も似合っていた」(前出・織田氏)
衝撃の作品といえば、野島伸司脚本の「高校教師」(92年、TBS系)だ。桜井幸子が扮した女子高生・二宮繭は、教師(真田広之)と恋に落ちるだけでなく、実の父親とも関係を持つという役柄。
実は観月ありさに内定していたのだが、シナリオを読んで観月が降板し、代役で好演した桜井が高い評価を得た。ラストシーンで桜井と真田の2人が死んだのかどうかと論争になったほどだった。