西岡、福留と続いて最後のお荷物補強なのが、オリックスからFA移籍した日高剛(35)である。メジャー脱落組ではないが、年齢は福留と同じ。お世辞にも脂の乗った選手とは呼べない。しかもオリックスでは岡田前監督に捕手として失格のレッテルを貼られて練習すらさせてもらえなかったうえにDH扱いされた、これまた“ポンコツ”選手。いったいどんな意図があるのか。
その大きな要因としてあげられるのが、正捕手を自前で育てられない歴史である。85 年の日本一メンバーだった木戸克彦(元GM補佐)以降、生え抜きは山田勝彦(現阪神バッテリーコーチ)ぐらいなもので、矢野燿大(現野球評論家)も城島健司も移籍組だった。
今季は小宮山慎二(27)、今成亮太(25)、藤井彰人(36)の3人で回していたが、今成はシーズン途中に日本ハムから加入、ベテランの藤井も昨年、楽天からFA移籍してきた選手だ。「今成はよかったが、小宮山が打席の面で不調が続いた。いくら捕手というポジションでも、藤井も若くはない。そこでスーパーサブとして日高の起用を考えたのでしょう」(安達氏)
小宮山の他にも中谷将大(19)などが控えているのに、またしても育成を阻むヨソ者捕手の獲得なのだ。
ちなみに、藤川球児(32)のメジャー挑戦で、守護神のポジションこそ補強が急務のはずが、獲得を狙った五十嵐亮太(33)は、あっさりとソフトバンクに持っていかれている。
心配事はまだまだある。今年のドラフト1位・藤浪晋太郎(18)が本当に大成するのか、だ。阪神担当記者からは、こんな信じられない言葉が返ってきた。「育てるプレッシャーよりも、藤浪を獲得したことで、首脳陣は救世主が現れたと喜んでいますよ。和田豊監督(50)がクジで藤浪を引き当てた“功績”で、今年の低迷が全部吹き飛んだと思っていますからね」
新人育成の責任感はどこへやら。首脳陣も、これで周囲の評価も上がったと色めき立っているというから、何とも情けないかぎりだ。
「たぶん実力のある藤浪には、それだけコーチたちが群がります。そこで、誰を信じていいのかわからなくなるのが何よりも怖いです」(前出・球団関係者)
阪神ファンは声をそろえて叫んでいる。
「何やっとんねん!」