日本ハムでは、リーグ打点王・中田翔(27)の契約更改でも駆け引きが展開された。2億4500万円からわずか3500万円アップの2億8000万円でサインし、「この世界はシビアですね」と渋い顔で会見に応じた中田は、順調にいけば来年オフにFA権を得る。大谷、中田というエースと4番が同時にいなくなることを懸念した球団は当初、中田に複数年契約を持ちかけたという。
「ところが中田は、その提案を蹴った。『狙い』を察知した球団は、それなら3億円に乗せるまでもないと、昇給額を抑えたんです」(スポーツライター)
中田の「狙い」はズバリ、阪神入り。FA移籍先としてすでに相思相愛関係にある、とされているのだ。そもそも阪神・金本知憲監督(48)と中田には太いパイプがある。5年前にダルビッシュ有(30)の紹介で、現役時代の金本監督と広島市内のジム「アスリート」で合同自主トレをしているのだ。広島のメディア関係者は、「中田は『鉄人と呼ばれる肉体を作った金本さんのトレーニングを学びたい』と心酔していた。広島は中田の故郷ですしね。以来、交流戦など機会があるたび『アスリート』へ通っていますが、今も金本監督の庭みたいな場所。ここが『サロン』的になり、2人の間には、切っても切れない信頼関係ができている」
金本監督は来オフの中田移籍を想定するかのように、一塁手のゴメス(32)をクビにすると同時に、福留孝介(39)の一塁コンバートを先送りにした。
すでに「阪神・中田」誕生の「密約」は、外堀が埋められたかのように見えるが、実は重大な問題が残されているという。
「金本監督の続投が条件です。もし来年もCS出場を逃すようなことになれば、去就に暗雲が垂れ込めてくる。そうなれば、中田獲得案は消える可能性もある」(前出・スポーツライター)
一方の日本ハムは、エースと4番の同時流出を念頭に置き、「来年は勝たなくてもいい」方針にシフトする構えだ。
これはいったい、どういうことなのか。球団関係者が明かす。
「このオフは、FAで陽岱鋼(29)もいなくなった。球団は先を見据え、新たな下地作りをしなければなりません。大田泰示(26)を巨人とのトレードで獲得したのも、その一環。もしかすると、中田に代わる4番になれるかもしれませんから。それも含め、来季は若手育成の年です。若い選手を我慢して使う。だからチーム方針として、しゃにむに勝ちにいくことはないでしょう。栗山監督もその方針を理解しているから『一回ぶっ壊してまた(チームを)作り直さなきゃ』と言っている。日本ハムとは、そういう球団なのです。ある意味、どこかの人気球団と違って、すごいと思いますよ」