「ふざけるな!」「読売が決めたのか!!」「関西のファンをナメやがって!」
スポーツサイトなどを中心にこんなコメントがあふれまくった。パ・リーグにコテンパンにやられた交流戦での惨敗もあり、低レベルな成績で大混戦となっているプロ野球のセントラル・リーグ。その優勝規定が突如、NPBによって告知され、大波紋を呼んでいるのだ。
現在、Aクラス(1~3位)で優勝争いをしているのは、阪神、ヤクルト、巨人の3球団。9月7日時点で2ゲームの中に3球団がひしめき、最終的によもやの3球団同成績という可能性が出てきた。そして、この状況にあわてたNPBは「同成績の場合は、前年順位の上の球団を優勝とする」と発表したのだが、これに対し阪神ファンとヤクルトファンはまったく納得できないようなのだ。
「2球団が勝率で並んだ場合は、全体の勝利数、お互いの直接の対戦成績などを考慮、それでも同点の場合は前年上位のチームを優勝にするという規定があった。このルールも多少は首をかしげる部分は残っていたのですが、3球団の場合は当然のようにそういった規定がなかった。ところが優勝争いも大詰めの9月の段階で、前年上位のチームがボクシングのように『引き分け防衛できますよ』となったら、ファンが怒るのは当たり前です」(スポーツ紙デスク)
前年のセ・リーグ優勝チームは読売巨人軍。つまり、この即席ルールの発表で一気に優位に立ってしまったことになる。これに一番激怒しているのは阪神ファンで、「去年クライマックスシリーズで巨人に勝ったのはタイガースや。だったらタイガースのほうが上やろが!」といった猛抗議が出ている。さらに山田哲人選手の3冠王ロードなど、久々の優勝争いに燃えに燃えているヤクルトファンもこの発表には「去年の上位が上なんてナンセンス。巨人が不利のルールなら絶対にそうしなかったはず」と怒りを隠せない。
「去年、上にいたチームが有利というのはそもそも間違ってますよね。それはオフシーズンにドラフトやFA補強でチームを変えるという球団努力をバカにすることと同じ。もしもサッカーでこのルールをやったら暴動が起きますよ」(前出・デスク)
クライマックスシリーズもパ・リーグの真似で導入したセ・リーグ。巨人が負けると、アドバンテージルールを採用するなど、いまだ“読売主導”の空気はなくなっていない。
今回はたまたまなのかもしれないが、ファンの気持ちを無視したルールを平気で導入するようでは、パ・リーグに大きく水を開けられた実力だけでなく、人気面でも一気に突き放されるかもしれない。
(小坂井まもる)