芸能

天才テリー伊藤対談「田中道子」(3)一番反対していた父が陰では応援を

テリー えっ、「1週間で決めなさい」とか言ってくるくらいだから、住むところぐらい事務所が用意してくれるものじゃないの?

田中 いえ、特にそういうものはなかったんです。だから、慌ててネットで女性専用の安いシェアハウスを探して、池袋の近くにあった一軒家にタイ人の女の子と一緒に住んでいました。

テリー たくましいなァ。仕事はあったの?

田中 モデルのお仕事は時々あったんですけれど、オーディションに行っても素人同然の23歳なのでほとんど受からないし、上京して1年ぐらいは少ない貯金を切り崩しながら、ギリギリ何とか生活している感じでした。

テリー それは厳しいね。シェアハウスとはいっても家賃もそんなに安くないだろうし。

田中 はい。正直、苦しい生活状態でしたね。

テリー そういう時に「普通に就職しておけばよかった」なんて思わなかった?だって、せっかく二級建築士の資格も取っているわけでしょう。

田中 これが、上京の時と同じなんですが、不思議と「頑張っていれば、いつかはうまくいくだろう」みたいな、妙な自信があったんです。もちろん、何の根拠もないんですけどね。

テリー なるほど。でも、そんな根拠のない自信を持つのが許されるのは、24歳くらいまでだな。

田中 じゃあ私、ギリギリでした。24歳の時に「ミス・ワールド2013」の日本代表に選出されたんです。任期の1年間は安定してお仕事もありますし、その肩書があると、やっぱりオーディションに受かりやすくなるんです。そこからは普通に生活できるようになりました。

テリー わりと早く結果が出せてよかったね。グランプリ受賞は、すぐご両親に伝えたの?

田中 はい。上京してからは音信不通状態だったんですが、受賞後すぐに電話したら、父はもう知っていたんです。どうやら速報を調べてくれていたらしくて。

テリー ああ、厳しいことを言っていても、やっぱり心配してくれていたんだ。

田中 あとから知ったんですが、実は陰ながら、いちばん私のことを応援してくれていたのが父だったんですよ。私がたまに受かったオーディションの写真なんかも拡大コピーして持っていてくれましたし、「ミス・ワールド」世界大会は、学校を休んで会場のバリ島まで応援に来てくれました。真面目な性格なので、今まで私用で休んだことなんてなかったのに。

テリー なら「ドクターX~外科医・大門未知子~」で女優デビューした時なんか、さぞ大喜びしてくれたでしょう。

田中 もう「さすがは俺の娘だ!」「お前は絶対やり遂げると思っていた!」って言われました(笑)。

テリー アハハハハ、すごいな。

田中 地域別で各回の視聴率も出してくれて、「ここの地域は、いちばん視聴率がいいぞ」みたいな連絡をくれたり、勤めている小学校の教室の黒板に、私が出るドラマの時間と絵を描いて宣伝してくれているらしいですよ(笑)。

テリー それ、少しやり過ぎなんじゃないのかな(苦笑)。でも、それだけお父さんを喜ばせたってことだから、終わりよければ全てよし、だね。

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