本塁打の誤審問題に対し、NPBの斉藤淳コミッショナーが「受理しない」と発表した(7月27日)。“被害者”であるオリックスが「再試合要請」は却下されたわけだが、NPBは誤審防止の的確な防止策を示していない。
「オリックスの言い分は、誤審を認めたのだからその場面からの再試合を行うべきというものでした。状況は異なりますが、他の球団も誤審被害にあっており、NPBと12球団の対立は続きそうです」(球界関係者)
防止策を施すとなれば、12球団も“血”を流さなければならないという。
オリックスが憤った誤審の舞台となったのは、ほっともっとフィールド神戸。同球場は他の本拠地球場と比べ、照明が暗い。地方球場に行くと照明の暗さはさらに深刻で、NPB関係者の中からは「公式戦が行われる球場の照明のすべてをLEDに換えてくれ」と、開き直ったような声も聞かれた。また、オリックス戦の誤審はビデオ判定を行ってから生じている。これに対しても、「映像機器が古い球場もあって、映像が荒いというか、かえってわかりづらい」(前出・球界関係者)との声も聞かれた。誤審を防ぐには、照明、映像機器を最新のものに交換しなければならないのだ。
「ロッテ本拠地のZOZOマリンがLED照明に交換していますが、その工事費は約8億円だとかで」(プロ野球OB)
地方球場の改装工事費は、NPB全体で負担していきたいと決めているものの、先立つものがない。そういえば、プロ野球経営への意欲を見せたスタートトゥデイの前澤友作氏は同球場の命名権を「10年総額31億円」とケタ違いの金額で落札し、個人としても、球場の施設運営基金に1億円を寄付している。NPBが抜本的な防止策を示さなければ、誤審騒動が球界再編の呼び水となるかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)