ちなみに、蔡医師によれば、
「この間亡くなった桂歌丸師匠も、汚血が原因です。何度も入院されていましたが、投薬によってその成分が蓄積し、汚血がたまって死期を早めたのです」
台湾生まれの蔡医師が千葉大学医学部を卒業後、勤務医を経て東京渋谷区に自身のクリニックを開設したのは93年。実は蔡氏自身も「汚血」によって、体に大きなダメージを受けた患者の一人だった。
「医院を開設してから数年たったある日のこと。腹壁から腸が飛び出す鼠径ヘルニアが悪化し、手術をしたのですが、半年ほど経過すると手術した周辺の皮膚が黒ずみ、水泡のような湿疹が出始めたんです」
調べてみると、手術の際に使われたプラスチック製品であるポリプロピレンのメッシュが溶けだして、全身に広がっていることが判明。
「そのうち、両膝関節にプラスチックの成分がたまって痛みが出始め、顎関節の可動域も狭くなり、咀嚼するのも苦労するようになってしまいました」
1年ほどすると水泡は体全身に広がり、かゆみや痛みを伴い、慢性気管支炎も発症。プラスチックによる中毒症状は4年間も続いたという。
「細菌やウイルスは手洗いやうがいを徹底すれば、ある程度侵入を防ぐことは可能です。体内に侵入しても自己免疫機能が正常に動いていれば、自然治癒力によって駆遂できる。ところが、化学薬品は自然界には存在しない『異物』なので、いったん体内に入ると、排出するのは容易ではない。そこが最大の問題なのです」
知らず知らずのうちに体内に蓄積されていく汚血。
「汚血が最もたまりやすいのは背中で、たまっている人は背中の表面がボコボコしています。これは就寝中、背中が毒素をため込むタンクのような役割をしているから。その他、両ワキ下や頸椎、肩甲骨周辺、腰椎の両脇、骨盤の上部などに汚血のたまりが多く見られます」
それが「痛み」「かゆみ」「発熱」などの症状となって現れるが、
「汚血の色は黒っぽく、ゼリーのようにドロッとしています。さまざまな不純物が混ざっているからで、いわゆるサラサラな血液の対極にあると言っていい。これが血流を阻み、細胞への栄養や酸素の供給、逆に細胞からの不要なものの排出を妨げる。体内の血流を渋滞させ、細胞が機能しにくくなり、あちこちで故障が出ることになります」