戦国時代において「世継ぎ」はしばしば内乱の火種となった。そして現代。芸能界の覇権を握るジャニーズ帝国に「後継者問題」が勃発、予断を許さない緊急事態となった。歴史をひもとけば未来が見える!! “ジャニー信長”の後釜に座るのは“タッキー秀吉”か、それとも‥‥。策略に満ちた戦国絵巻をお届けしよう。
「ずっと自分を育ててくれたジャニー社長のタレントを育成、プロデュースしていくという意思を継ぎ、ジャニーズJr.の育成や舞台、コンサート等のエンターテイメントをプロデュースする仕事に専念することを決意致しました」
9月13日にマスコミ各社に送られたFAXで、タレント引退の理由についてこう語ったのは、滝沢秀明(36)。白髪染め「メンズビゲン」のCMや、8年前から続く恒例の舞台「滝沢歌舞伎」で人気を博していただけに、あまりに唐突な引退宣言だったが‥‥。
「天下布武」を旗印に、芸能界随一の巨大プロダクションに成長したジャニーズ事務所。その頂点に立つジャニー喜多川社長(86)から「後継者指名」を受けたことが契機になった、とは事務所関係者の弁である。
「滝沢は10代の頃から100人規模のジャニーズJr.をまとめるリーダーに指名されるほどジャニーさんに認められ、寵愛を受けた存在です。もともとはタレント兼任で、ということでジャニーさんからじきじきに打診されていたのですが、タッキー&翼が解散することになり、本人が『待ってくれているファンがいるなら引退はできないけど、解散するなら話は別。後輩を育てる仕事を中途半端にはできない』と決意したそうです」
いつの世も、強大なトップに「世継ぎ」の問題は付きもの。歴史上の人物をこよなく愛する“歴ドル”の美甘子氏は、今回のいきさつを「江戸幕府」に例える。
「徳川家康は幕府を開いてからわずか2年ほどで、息子の秀忠に将軍職を譲っているんです。秀忠は関ヶ原の戦いに遅参するなど武功が少なく、ちょっと頼りないところのある人で、家康が自分が存命のうちに院政を敷き、立派な将軍に育てようという意図があったと言われています。もちろん、秀忠と違ってタッキーは立派だと思うのですが‥‥」
親から子への権力禅譲と、帝王学の伝授。確かに似通った部分は少なくない。
一方で、後継者候補と目されていた近藤真彦(54)や東山紀之(51)ら先輩を飛び越えての指名とあって、「下剋上」のイメージもファンの間で広まっている。
お笑いコンビ「ほたるゲンジ」の歴史好き芸人・桐畑トール氏はこう語る。
「最初に浮かんだのは、織田信長亡きあとの跡目騒動です。内部での謀反、というか。ジャニーさんが織田信長だとしたらタッキーは豊臣秀吉。筆頭家老の柴田勝家がマッチで、信頼の厚い老臣の丹羽長秀がヒガシって感じですね。もちろん信長と違って、ジャニーさんはご存命ですけど(笑)」
さらに、秀吉と滝沢にはこんな共通点も見受けられるのだった。
「秀吉は信長の死後、勝家らを差し置いて、勝手に信長の葬式をやるんです。勝家や長秀は参列すらできなかった。要は、『自分が後継者だ』というアピールです。報道を見ていると、タッキーも多くのタレントが集まるジャニーさんの誕生パーティーを完全に仕切ってるそうじゃないですか。勝手にやっているわけではないでしょうけど(笑)、すごく似てますよね」(桐畑氏)