どんな疑惑も詭弁、方便で逃げ切り、恥ずかしげもなく総理のイスに居座る我が国のトップ。地方行政でもさらなる厚顔のお歴々が、ふんぞり返っている。埼玉・蓮田市の「駅前開発10億円訴訟」レポートは大きな反響を呼んだ。その第2弾として、あの名物市長も骨抜きにされた大都市のデタラメぶりを憤激告発する。
徳川義直が1610年、尾張藩邸を清洲からそのまま移転させ、生まれた名古屋市。以来、その土着性から、独特の文化を形成してきた。そんな名古屋の街では今、2027年のリニア中央新幹線開業に向け、駅周辺の建設ラッシュが続いている。
地元情報誌記者が言う。
「長い間、名駅前の顔として知られてきた『大名古屋ビルヂング』が34階に高層化され、JR東海などによる地上46階、地下6階建の『JRゲートタワー』が完成。新幹線やJRの在来線などと直結し、まさに名古屋の玄関口になった。さらに名駅周辺は今、ミニバブルを思わせるにぎわいを見せています」
あるシンクタンクの調査によれば、リニア開業後50年で、名古屋市に発生する経済効果は合計10兆円を上回るとか。なんとも景気のいい話だが、それに便乗するように一昨年3月、名古屋市議会で可決されたのが、「議員報酬を増額する特例条例」。しかもその額が、年800万円から一気に650万円もアップさせた1450万円だというのだから、驚きを通り越してア然ボー然の銭ゲバぶりである。市政担当記者によれば、
「提案したのは自民、民主、公明の3会派。名古屋市議会はこの3会派が圧倒的な力を持っているんですが、彼らの言い分は『名古屋は大阪や神戸、福岡と並ぶ政令指定都市。地方都市の市議会に比べ、政令指定都市の市議は仕事が多い。それが他の地方都市と同水準なのはおかしい』というもの。結局は数の論理で法案が可決され、河村たかし市長(69)が採決の際に議長の机をバンバン叩いて抗議し、たしなめられる一幕もありました」
というのも、そもそも名古屋市議の議員報酬は「1600万円なんて高すぎる。半分で十分だがね!」という河村市長と、市長率いる地域政党「減税日本」の提案で、1600万円から800万円に引き下げられた経緯がある。市政担当記者が続けて解説する。
「河村さんが市長の給与と議員報酬半減を公約に掲げて当選したのが、09年。当然のことながら、市議たちは猛反発しましたが、河村さんがリコール(市議会解散請求の署名)を仕掛けて議会を解散。11年3月の市議会選挙で減税日本が28議席を取り大勝した。会派から議長ポストまでを手中に収め、報酬額半減の条例が実行されることになったんです」
ところが、魑魅魍魎と言われるのが政治の世界。「ぽっと出の人間がいきなり市政をやれるわけはにゃ~」(さる自民党議員)との反発がある中、「減税日本」にかげりが見え始めるのにさほど時間はかからなかった。
「まず、唯一の前職議員が政務活動費の使途などを巡り、議員辞職。その後、新人女性市議が、未承認の効能をうたった健康器具を自身のウェブサイト上で販売していたとして、薬事法違反の疑いで名古屋市から行政指導を受けます。さらに、男性市議の、公費での女性同行視察が発覚し、そればかりか、愛車のポルシェでの女性当て逃げも発覚。当初は『ぶつかってないがや』とうそぶいていたんですが、結局、書類送検され、減税日本の人気は一気に失速していくことになります」(市議会関係者)