ミャンマー中部で3月28日に発生した大地震は、震源からおよそ1000キロも離れた隣国タイの首都バンコクにも、甚大な被害をもたらした。在住日本人のコンドミニアムでは外壁の落下や内壁のひび割れが確認され、これまで安全とされてきた高層住宅に対する不安が広がっている。
バンコクのコンドミニアムは外国人が借りやすい物件として知られ、駐在員や富裕層にとってはステータスの象徴とされてきた。しかし今回の大地震を機に、建物の耐震性や安全性に疑問の声が上がり始めたのである。在バンコクの日本人男性が現地の状況を明かす。
「今までコンドミニアムは、安心して住むことができると信じられていました。しかし、今回の地震で日本人に人気のエリアの高層コンドミニアムで渡り廊下がちぎれる動画がSNSで拡散した。それによって、コンドミニアムに対する安全神話が崩れつつあります。低層階のアパートや一軒家に引っ越しを考える人が増えています」
日本人の住まい選びに、新たな潮流が生まれつつあるのだ。
現地の不動産市場では、従来の高層コンドミニアムの需要が見直される動きが始まっており、今後は建物の耐震基準や安全対策が改めて重視される。
タイ政府や不動産業者には今後の対策として、既存の建物への耐震補強工事や、新築物件の耐震基準強化を検討する動きがある。
この大地震を経て、タイ在住日本人の生活環境は大きく変わるとともに、不動産市場や住まいに対する価値観に変化をもたらすことになる。