芸能

やしきたかじんを全国区にした大ヒット作詞家・及川眠子が激白(3)温泉で「レコード大賞」を見て…

 さて、「思い出のメロディー」収録のその日、恩師である水橋氏もNHKホールに招かれていたが、なぜか姿を見せなかった。

「ドキドキする」

「収録終わったよ」

 衣装スタッフを通じてWinkの2人はLINEを送ったが、いつになく「既読」にならない。そして翌8月5日、水橋氏が亡くなっていたことが確認されたのだ。なんという日の巡り合わせだろうか‥‥。

 Winkは80年代の終わりに、稀有な登場のしかたをした。ニコリとも笑わないスタイルは、この時代のアイドルにとっては考えられないことだった。

「もうバブルのピークは過ぎていたけれど、Winkにはバブルを引きずらせたかったの。翔子が東京の東村山市で、早智子が埼玉の草加市出身。いってみれば、田舎者の女の子が憧れる都会を描きたかった」

 それが「ルームライト」であったり「ホテルのプールサイド」であったり‥‥。肩パッドを入れた衣装にピンヒールを履かせ「背伸び感」を演出したのは、水橋氏のアイデアである。

 89年の日本レコード大賞は、美空ひばりと光GENJI、そしてWinkの三つ巴の争いと言われた。だが、及川氏の姿は(会場の)日本武道館になかった。

「(大賞を)取れると思っていないんだから、母親と一緒に和歌山の山奥の温泉旅館に行ってたわよ。そしてテレビを見てたら『あら、取っちゃった!』って(笑)。本当は作詞家もあのステージにいなきゃいけないけど、ひばりさんか光GENJIだと思ってたから」

 ところで、及川氏にとって最大の「金のなる木」をご存じだろうか。

「この曲だけではないけど、いい時は印税が億を超えることもあった孝行者。その翌年には税金の支払いもドーンとのしかかってくるけど(笑)」

 それが傑作アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のテーマ曲で、高橋洋子(52)が歌う「残酷な天使のテーゼ」(95年)だった。アニメ自体が今なお新作映画を重ねていることもあるが、なんといってもパチンコ機種としても大ヒットし、カラオケではその歌唱頻度がNo.1レベルをキープ。

「これも番組のプロデューサーの大月俊倫さんが天才だったと思う。私にはひと言、『難しくしてね』という注文で、1本の糸を交差させて、こんがらがらせていくサジ加減がちょうどよかったということかな」

 達人たちの禅問答のようである。

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