テリー 俳優としてのこれまでのキャリアを振り返ってみて、どうですか。
高嶋 もともとはバンドでプロを目指していて、いろんな偶然が重なって現在に至る感じなんです。まず俳優になった最初の年に「辞めよう」って思いましたしね。
テリー なんで?
高嶋 みんなそうだと思うんですけれど、新人の1年目って、ぶつかる壁が死ぬほどあるんですよ。僕の場合は演技ができないし、アフレコも苦手でしたから、とにかく現場で厳しくされました。そのくせに新人はプライドだけは高くて、僕もその時は「そもそも俺はバンドがメインなのに、なんでそこまで言われなきゃいけないんだ?」みたいな気分もあったんです。もうバンドに戻ろう、と漠然と考えた時に森田芳光監督と出会ったことで、あらためて演技のおもしろさに気づいたんです。
テリー 映画「悲しい色やねん」だね。あれ、おもしろかったよ。
高嶋 そうなんです。これまで、数々のすばらしい出会いに恵まれていたと思います。
テリー 高嶋さんを俳優の道へと導いたのはさ、きっと本のタイトルじゃないけど“紳士”の部分があるからだと思うな。SMの話をしていても、どこか品があるし、人柄のよさや柔らかさもあふれているから。
高嶋 ありがとうございます。ただデビューから10年くらいは、高倉健さんと三船敏郎さんに憧れていたこともあって、わざと「男は黙って‥‥」みたいな美学を貫いていたんですよ。ずっと気取って、しゃべらないようにしていて‥‥本当にバカでしたね。
テリー え、そんな感じだったんだ。
高嶋 当時、いろんなバラエティーの仕事の依頼もいただいていたんですけれど、「役者はそんなものに出ない」「今は映画が入っているから他の仕事はしない」なんて生意気なことを言っていましたよ(苦笑)。そこで、ずいぶんチャンスを逃したんだと思います。
テリー そうか、でも今はすっかり変わったよね。こっちが知らなくていい、SMの話までするんだから。
高嶋 ですね。「自分がおもしろいと思うことは、何でもやってやろう」とフッ切れたら、生きていくのがずいぶん楽になりました。
テリー そのおかげか、この10月から3つも新番組が始まるんでしょう。まずBSの音楽番組「My Anniversary SONG」の司会、もうひとつは連続ドラマ「ハラスメントゲーム」。
高嶋 はい。音楽番組はアーティストに限らず音楽好きな方をゲストに招いて、自分のアニバーサリーになった曲、転機になった曲などをリストアップしてもらって、それをアンプラグド的に披露してもらう番組です。ドラマもスーパー業界版「白い巨塔」みたいな感じで、おもしろいですよ。
テリー へえ、それは気になるね。
高嶋 もうひとつが、BSフジの「パレ・ド・Z」という番組です。未来に残すべき「一皿」を、毎回、超一流の料理人に考えてもらって、ドキュメンタリーとドラマを交えて紹介していくんです。
テリー 本も出たばっかりなのに大忙しじゃない。こりゃ、SMやっている場合じゃないよ。
高嶋 いや、SMはその合間に(笑)。
テリー ハハハ、やっぱりやるんだ?
高嶋 もちろんですよ。これからも思い切り「変態」として生きていきたいですからね。
◆テリーからひと言
いや、フッ切れた男はおもしろいねェ。アサ芸で高嶋さんを縛って吊るして、袋とじに載せようよ。話題になると思うんだけどな。