複数の競馬関係者の話をもとに、社台・非社台の馬主たちの“査定”を記したのが、「騎手の格付けランキング」である。
Sランクには外国人の4人、次いでAランクに国内トップジョッキーが位置する形だ。外国人ジョッキーの4人は欧州での評価も高く、4人の順位は依頼する馬のタイプなどで変わるほど、甲乙つけがたいという。
前出とは別の個人馬主が話す。
「社台帝国を支える吉田3兄弟でも主戦ジョッキーはそれぞれ違っていて、ノーザンファーム系(サンデーレーシング、キャロットファーム、シルク)の代表の勝巳氏はスミヨン(31)、社台ファーム系(社台レースホース、グリーンファーム)の照哉氏は、M・デムーロがお気に入りです。彼らを乗せて結果が出なければ諦めがつくというほど信頼を寄せてますね。あえてこの4人を比較するなら、スミヨンとM・デムーロが『剛』、ウィリアムズ(35)とルメール(33)が『柔』のタイプでしょうか」
馬主、調教師の外国人ジョッキー好きは、何も社台軍団ばかりではない。スポーツ紙デスクが話す。
「昨年、わずか6頭の出走だけで収得賞金3億円以上を稼いだ“ハマの大魔神”こと佐々木主浩氏は、後輩で馬主の三浦大輔氏に『勝ちたいなら外国人騎手を乗せろ』なんて軽口を叩いていました(笑)。馬主たちの“外国人偏重路線”は、まだまだ続きそうですね」
とはいえ、日本人ジョッキーたちも黙って見ているつもりはない。専門紙トラックマンが話す。
「オルフェーヴルが凱旋門賞に出走する際、それまでの池添謙一(33)からスミヨンに乗り替わったじゃないですか。トレセン内では『日本馬と日本ジョッキーで勝たなくちゃ意味がないだろ』なんて声も多かったんです。池添も悔しい思いをしたでしょうしね。
それに池添だけでなく、国内トップの騎手たちは皆、内心は忸じく怩じたる思いだったと思いますよ。明日は我が身ですから。そういう意味では、一時期『重賞の1番人気で弱い』なんて言われた岩田康誠(38)が、昨年はJRA史上最多タイとなる年間GⅠ6勝をあげ、自信を深めている。今年は4冠馬ジェンティルドンナでその凱旋門賞に参戦する予定ですから、ぜひとも期待したいですね」
調教師からの絶大な信頼度を誇る東のベテラン組・蛯名正義(43)と横山典弘(44)も健在なだけに、今年のGⅠ戦線も楽しみだが、注目したいのが、今季早くも12勝(1月14日現在)をあげている福永祐一(36)。昨年の獲得賞金額トップの岩田より数値で大きく上回るデータがあるというのだ。
本誌競馬連載陣の伊吹雅也氏が指摘する。
「12年のJRA重賞の成績を見ると、岩田騎手の継続騎乗馬での勝率は25%と強烈。ですが、乗り替わりになると8・1%、連対率は43・8%から16・2%まで下がります。その点、福永騎手は継続騎乗で勝率18・8%、乗り替わりでも13・3%、連対率を見ても31・3%から26・7%と、5%ほどしか下げていません。継続騎乗馬での破壊力こそ岩田騎手に劣りますが、乗り替わりなら福永騎手のほうが断然上。岩田騎手に人気が集まるようなら馬券的妙味も十分です」
重賞だけでなく、特別戦全体まで広げても同じような傾向だけに、馬券作戦のポイントとして頭に入れておいて損はないだろう。