テリー そもそも、ゆりあさんは、どうして猿まわしになりたかったの?
ゆりあ 実は、大きなきっかけというものは、ないんですよ。考えてみると、昔から「私はニホンザルと一緒に仕事をして生きていくんだ」と思っていて。
テリー そんなことってあるの? 普通だったら「高崎山の猿を見て感動した」とか何かあると思うけど。
ゆりあ 私自身は覚えていないんですが、親から「お前は小さい時から、動物園の猿山の前から全然動かなかった」なんて聞かされたことはあります。
テリー すごいね、自分が覚えていない時期から猿に夢中だったんだ。
ゆりあ どうもそうらしいです。で、小学生の頃に師匠の「太郎次郎」がテレビに出ているのを見て、「猿まわしという仕事」があることを初めて知りまして、それからは飼育員になるか、それとも猿まわしになるか、ずっと悩みました。
テリー で、猿まわしを選んだんだ。決め手は何だったのかな。
ゆりあ お猿さんとより深く関われますし、言葉も通じない相手と一つのものを作り上げてお客さまに笑っていただく、という仕事の内容も魅力的でしたし、あと「そもそも、どうすればこんなことができるんだろう?」という興味も、単純にありましたね。
テリー これはみんなが知りたいことだと思うけど、どうすれば猿まわしになれるんですか?
ゆりあ 最初は私もわからなくて、まず高校を卒業してから動物の専門学校に入りました。そこは、主に飼育をメインに教えている専門学校だったんですが。
テリー そこで、猿まわしになるためのノウハウを?
ゆりあ いえ、卒業生のほとんどは、動物園とかに就職します。結局は卒業してから師匠の事務所である「太郎倶楽部」へ面接に行きまして、そこで一門に入門したんです。
テリー あれ、じゃあ専門学校はあんまり関係なかったんだ。
ゆりあ ハハハ、そうなんですよ。別に資格なんかもいらなくて、行って「入門させてください」とお願いしたら、「ああ、いいよ」みたいな(笑)。
テリー なんだよ、そんなに簡単なものなの。とはいっても、どんな世界なのかはわからないし、実際には不安でしょう。例えば、正式入門前のお試し期間みたいなものはなかったの?
ゆりあ 実は専門学校生時代に、「研修」という形で1カ月間見学させていただいていたんです。実際に体験して「お猿さんと芸をしたい」という気持ちが強くなると同時に、「そんなに簡単な世界じゃない」という気持ちも生まれてきたんです。なので、自分の気持ちが本物かどうかを確かめるために、学校卒業後の1年間、自分で猶予期間を設定したんです。「1年たって気持ちが変わらなければ、その思いは本物だ」と。
テリー そのあとに入門のお願いをしたんだ。じゃあ、ゆりあさんの覚悟は相当なものだったんだね。ちなみに、入門した時のお給料とかはどうだったの。
ゆりあ 師匠が「自分だけじゃなくて、相方のお猿さんの生活も充実させないとダメだ」という考えを持つ方なので、恐らく最初から、動物業界の中では比較的いい金額をいただいていたと思います。
テリー 優しい師匠でよかったね。あ、もしかして、口説かれたでしょう。
ゆりあ アハハハハ、全然なかったです。
テリー そう? 弟子に手を出している師匠なんて、山ほどいるじゃない。
ゆりあ 他のキレイどころは知りませんけれど、私はさっぱりです(笑)。