2018年もまた“酒に飲まれてしまった”芸能人による不祥事が相次ぎ、これまで積み上げてきたキャリアや実績が一瞬にして吹き飛んでしまう受難を経験している。
やはり、その筆頭ともいえる存在は今年2月にNHKのレギュラー番組で共演していた未成年のタレントを自宅に呼び出し、酩酊状態の末に無理やりキスをするなどの暴挙に及んだ元TOKIOの山口達也だろう。「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ系)では爽やかに汗をかきながら肉体労働に勤しみ、笑顔の似合う甘いルックスでも高い人気を誇ってきた彼だが、事件発覚後には次々と“酒グセの悪さ”が周囲の人間による証言で明るみとなり、TOKIOとして、そしてジャニーズ事務所所属タレントとして積み上げてきたキャリアは音を立てて崩れることに。
同じくアイドルとして長きにわたって活躍するも、酒によってキャリアの終焉を迎えた人物といえば、9月に酒気帯び運転中にひき逃げ事故を起こした元モーニング娘。の吉澤ひとみだ。彼女のひき逃げ事故がひときわスキャンダラスだった理由は、横断歩道を渡る通行人を突き飛ばしながら何の躊躇もなく、その場から走り去る一部始終がドライブレコーダー映像にバッチリと残され、その動画が一斉に拡散されてしまったことにある。
かつて多くの男性を魅了し、可憐に愛嬌を振りまいていた平成を代表するアイドルグループの一員だった人間による衝撃的なひき逃げ事故の映像は、いかに酒が人間の判断基準を鈍らせ、モラルを置き去りにさせてしまうかが痛いほどに伝わるものであった。
もちろん酒にすべてを奪われてしまう人間は芸能界だけでなく、政界・官界にも散見された。財務省の元事務次官だった福田淳一氏は4月、飲食店で女性記者に対して「胸を触っていいか?」などの嫌がらせ発言をしたとして、大きなバッシングを浴びることに。その際の音声テープまで公開される事態となり、最終的に彼は辞表を提出。件の失言を言い放った際、福田氏は酒に酔っていたともされており、記憶も曖昧だったと後に述べている。
失言の音声が録音され、それを公開されてしまったというのはあまりにも脇が甘かったと言わざるを得ないが、芸能界には自身の失言・暴言を自らネット上に“配信”してしまう猛者も存在する。
漫才No.1コンビを決する年末恒例のM-1グランプリ2018が終わるやいなや、同大会に出場していたスーパーマラドーナの武智正剛は芸人の集う飲み会の席でインスタグラムのライブ配信を開始し、ベロベロに酔っ払ったとろサーモンの久保田かずのぶへカメラを向けた。
突如としてライブ配信の主人公となった久保田は「酔ってる勢いで言いますけど…」と切り出すと、延々とM-1で審査員を務める“某女性”に対して不平不満を言いつらね、「一番右の(席)!」と上沼恵美子の座る審査員席の位置を指定。武智も「オバハン」「更年期障害」といった攻撃的なワードを言い放ち、大先輩を完全に敵に回すことになるこの問題の動画はすぐさま拡散され、多くのワイドショーやニュース媒体によって二次的、三次的にコト細かく報じられる事態となった。
これらの“酒の過ち”を犯した後、山口達也はTOKIOを脱退し、ジャニーズからも退所。吉澤ひとみも芸能界からの引退という決断を下し、今や一般人の身だ。事務次官を辞任した福田淳一氏には“性的ハラスメント”のイメージが付きまとい、再出発に苦労しているとも一部で報じられ、各々が騒動の大きなツケを支払っている最中である。
“関西の女帝”こと上沼恵美子を怒らせた久保田と武智が今後どのようなキャリアを歩むことになるかはわからないが、市井の我々は年末年始の忘年会、新年会に向け、宴における“ハメの外しすぎ”には十分注意する必要がありそうだ…。
(木村慎吾)