焼き芋の車が街を走り、冬の訪れを告げる。この焼き芋には知られざるすごい健康効果があった!
焼いても、蒸しても、煮ても炒めてもおいしいサツマイモ。メキシコ原産ともいわれ、我が国には1614年頃薩摩に伝わったと記録にはある。サツマイモが一躍世に知られ、広まったのは1732(享保17)年に発生した「享保の大飢饉」。この時の餓死者は「日本災異志」では12172人、「徳川実記」では96万9900人といわれる。その惨状に、時の八代将軍・徳川吉宗が青木昆陽を取り立て救荒食としてのサツマイモの普及に努めたことが大きい。江戸の飢饉にも栄養満点のサツマイモが大活躍した。
このサツマイモの効能を萩原久美管理栄養士が説明する。
「サツマイモには食物繊維が豊富なことは知られているが、サツマイモの食物繊維はセルロース。腸内の善玉菌を増やしきれいにするので大腸ガンの予防になる。また、サツマイモにしか含まれていない成分がヤラピン。腸のぜんどう運動を促進します。さらにガンクリオシドという成分が含まれている。これはがん細胞の増殖を抑える働きがあるほか、認知症の予防、抗菌作用、アンチエイジングの効能も期待されている」
さらにはビタミンCも豊富なので、抗酸化作用、美肌効果もあるというし、免疫力や骨の発達、目の健康に欠かせないビタミンAも豊富ということだ。
そのサツマイモ、調理法は多いが、やっぱりおいしいのは焼き芋。家庭で上手に作る方法も萩原久美さんが教えてくれた。
「サツマイモに含まれるでんぷんは日を追うごとに酵素の働きで糖化するので、新聞紙などに包んで冷暗所で1~2週間保管してから使うと甘味が増します」
このサツマイモをアルミホイルですっぽり包み、土鍋を使い弱火にしてじっくり火を通す。こうすると甘くてねっとりとした食感の「焼き芋」ができあがるという。
「シナモンやメープルシロップをつければおいしいデザートにもなる」
今はサツマイモがいちばん美味しい時期。1日1食はサツマイモの一品を加え、風邪知らず、病気知らずの身体をつくろうではないか。
(谷川渓)