たびたびブームになってきた納豆が再び脚光を浴びている。見逃せないのはその効用の数々。大腸ガンから心筋梗塞、果ては脳血栓まで「万病に効く」最高の健康食なのである。中には「ニオイやネバネバが苦手」の人もいるだろうが、その対策もバッチリ。夏の5大レシピとともに、今日から始められる納豆生活を以下──。
健康にいいイメージのある納豆だが、具体的にどんないいことがあるかは意外と知られていない。最初に、納豆に含まれる主な栄養素や成分、その効果について説明しておこう。
納豆には、いわゆる6大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維)が全て含まれている。
中でもビタミンは、A、C、D以外、ほぼ全てが含まれている。ふんだんに含まれるビタミンB2は糖質と一緒に摂取した際に血糖値の上昇を抑える効果があり、糖尿病を予防する力を持つとして注目を浴びている。
日本人の摂取量減少が指摘されている食物繊維もたっぷりだ。食物繊維は便秘の予防・改善はもちろん、便秘に伴う肌荒れなどの改善にも効果がある。「腸に悪い14の習慣」(PHP新書)などの著書がある松生クリニック(東京都立川市)院長の松生(まついけ)恒夫氏はこう語る。
「納豆には、不溶性の食物繊維が豊富で、100グラム中、4.4グラムも含まれます。不溶性の繊維は、胃で水分を吸って膨らみ、便の量を増やします。加えて、腸壁を刺激して便通を促す働きもある。水溶性の食物繊維も100グラム中2.3グラム含まれていて、便を柔らかくするのにも有効です」
納豆にはポリアミン、イソフラボンという成分も含まれている。ポリアミンには老化防止、新陳代謝を促進する働きがあるため、くすみ、シミ・シワの予防効果が期待できる。
一方のイソフラボンは、ポリフェノールの一種のため、強力な抗酸化作用があり、老化防止、アンチエイジング効果があると言われている。
また納豆は、大豆が納豆菌によって発酵することで作られる。納豆菌の大部分は生きたまま腸まで到達し、大豆のタンパク質を分解する。この時できるブドウ糖や麦芽糖を餌にすることで、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が増えていく。その結果、腸内が善玉菌優勢となるのだが、松生氏が続ける。
「腸にとって乳酸菌は好ましいものですが、その乳酸菌に動物性のものと植物性のものがあることは意外と認知されていません。動物性乳酸菌がヨーグルトやチーズといった動物由来の発酵食品に含まれるのに対し、植物性乳酸菌は納豆や漬物など植物由来の発酵食品に含まれています。現代人はこの植物性乳酸菌をもっと多く摂るべきだと、私は考えています。難病に指定されている潰瘍性大腸炎や大腸ガンの増加は、食の欧米化に伴い植物性乳酸菌の摂取量が減少していることと無関係ではないと思われます」