寒い冬には血行が悪くなり、首や肩、腰まわりにコリができやすいもの。体の悩みを解消しようと町の整骨院に出かけたら、順番待ちの長蛇の列が‥‥。そんな緊急事態にも対処できる、自分で押せる「ツボ本」が大ブーム。「効果絶大」と評判の中から、気になるツボを全部押してみた。
ここ数年の健康ブームを背景に「ツボ押し本」が売れている。大手書店では専門コーナーが設けられ、足ツボを刺激する棒やマットなどの「ツボ押しグッズ」も併設販売されるなど、大にぎわい。健康雑誌のライターによれば、
「火付け役は13年に発売された槙孝子さんの著書『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』(アスコム刊)。第2の心臓であるふくらはぎを1日たった5分揉むことで高血圧や糖尿病、足・腰の痛みを遠ざけるとして、圧倒的な支持を受けた。この本によって、自分でできるツボ押しの効果がクローズアップされるようになったのです」
気がつけばもう年の瀬。年末の忙しさに加え、忘年会で体に大きな負担がかかるシーズンだ。胃もたれや疲労感に悩まされているという諸兄も少なくないはず。そこで、今回はベストセラーの「ツボ押し本」の著者に、とっておきのセルフケアを伝授してもらった。
「よくある肩や背中の痛みですが、実はこれらは胃腸の機能低下で起きていることが多い。つまり痛みは結果であり、体からのシグナルと考えるべきです」
そう語るのは、背骨専門サロン「神楽坂ホリスティック・クーラ」代表で、18年4月に発売した「コリと痛みの地図帳」(池田書店)が半年で5万部のベストセラーとなった石垣英俊氏だ。
年末年始は何かと飲酒の機会が増えるもの。例年、吐き気や胃もたれに悩まされる人も少なくないが、
「一過性の二日酔いではなく、慢性的な食欲不振などの場合は、胃や肝臓にダイレクトにアプローチする方法が有効です」
とはいえ、ズブの素人がツボを的確に探し当てられるものなのか。
「正直、ツボの位置はとても厳密で、しかもポイントは非常に小さいものも多いため、一般の方がツボの位置を正確にとらえるのは難しい。なので、ツボは『点』にこだわりすぎず『面』で刺激し、できるだけツボを含む周辺エリアをほぐしたほうがいい」
こう言って石垣氏が挙げる、もみの“ターゲット”が、肋骨下の部分。まずは胸骨の下にある、骨がないポイントを確認。手をM字の形にして、指先を助骨内部に押し込む。さらに上半身を前に倒して5~10秒ずつ圧をかけていく。
「椅子に座るか、あぐらをかいて覆いかぶさると、やりやすいでしょう。ただ、痛みが強い場合は他に病気が潜んでいる可能性があるため、注意が必要です」
さっそく、指示どおりに肋骨下を押してみる。するとしだいに体が温まって、確かに胃腸が軽くなった感じがする。中には便通が改善された人もいるそうだ。
また、手首にあるいちばん太いシワから肘に向かって親指の幅約2本分の位置にある「内関(ないかん)」のツボをマッサージするのもいいという。
「体はさまざまなパーツがつながりを持っていますが、胃腸とつながっているのが、この内関。ここから経絡に沿って肘の少し下まで親指をスライドさせながら押したり離したりを繰り返す。これは胸焼けや胃もたれの改善などに効果があります」