年末年始に限らず、日頃から「なんとなく疲れが取れない」「だるくてやる気が起きない」といった悩みを抱える人も多いはず。
「そんな場合は腎臓がSOSを出していると考えていいでしょう」
そう語るのは、27万部のベストセラー「疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい」(アスコム刊)の著者で、「六本木・寺林治療院」の寺林陽介院長だ。
「腎臓はふだん、老廃物が混じった血液をろ過し、体にとっていらないものだけを尿として外に排出してくれる器官。ところが腎臓が疲れ、きちんと働かなくなると、体に必要なものが外へ出て行ってしまったり、逆に老廃物が排出されずに体や血液の中にたまり、結果、血液がドロドロになり、血行が悪くなる。すると、体が活動するのに必要な酸素や栄養が全身に行き渡らなくなる。東洋医学では腎臓と副腎をまとめて『腎』と呼んでいますが、原因不明の慢性疲労の多くは腎臓からきている場合が多いということです」
寺林氏考案の腎臓マッサージは、おなかからスタートして脇腹、そして背中へ、というのが基本。
おなかには「盲兪(こうゆ)」(へそのすぐ横にあるツボ)、「天枢(てんすう)」(へそから親指の幅約2本分外側にあるツボ)、脇腹には「帯脈(たいみゃく)」(脇腹の真ん中あたりにあるツボ)、さらに背中には「腎兪(じんゆ)」(背骨から親指の幅1.5本分外側にあるツボ)「志室(ししつ)」(背骨から親指の幅3本分外側にあるツボ)と、腎臓と密接な関係があるツボがあるという。
「おなかをマッサージする際は両手指の第1、第2関節を曲げ、おなかに押し当てたら、上下に動かしながら少しずつ脇腹へと移動させます。おなかと脇腹が終わったら両手で拳を作り、人さし指の第3関節で腰の筋肉をもみほぐすイメージで行い、背骨までたどりついたら終了です」
いずれのツボもヘソの高さにあることから、おなかから始めることで、マッサージの精度も高まるというわけだ。
実は数日前から胸焼けに苦しんでいたのだが‥‥。この「背中もみ」は効果バツグン。内臓全体が軽くなったような感覚だ。
もっとも、腎臓に効くツボがあるのは、内臓付近のおなか回りに限らない。
「くるぶしの付近にある『大鐘(たいしょう)』は、腎臓の慢性疾患のほか、肺や気管支炎の不調改善にも効果があるので、ぜひ試してみてください」
方法は簡単。利き手で拳を作り、指の第2関節をツボに押し当て、10~20回を目安に手でグリグリと動かすだけで十分だ。
「腎臓というのは肝臓同様、沈黙の臓器。だから、症状が現れてからではもう遅いのです。いうなれば、夫が定年するまで我慢して、定年したとたんに突きつけられる“熟年離婚”みたいなもの(笑)。そうならないためには、ふだんから腎臓に対してもありがとうと、ねぎらいの言葉をかけておくほかない。それが腎マッサージなんです。酒飲みに酒を飲むなというのは酷な話だし、やっぱりおいしいものも食べたい。つまり、生活習慣はなかなか正せない。だったらせめて、つぼマッサージで腎臓をいたわってやること。1日1分でかまわないので、試してみてください」