テリー 帰国が決まった時は、もちろん喜びがあったでしょうが、それ以外の思いはありましたか。
安田 「こちらにいる間に、自分を拘束した組織の正体を暴きたい」とずっと思っていました。もう一度、現地を取材して帰りたいと。実はトルコの情報機関に引き渡されて移動する間に「日本政府にはまだ、解放されたことを連絡しないでほしい」と伝えていたんです。
テリー 本当に!?
安田 身代金を支払う場合は、人質が生きている証明が絶対に必要なんです。しかし、それを2年半以上書かされていなかったので、間違いなく身代金は払われていない。でも、解放されてすぐ日本の迎えが来たら、払われたと思われるじゃないですか。だから、いくらかのタイムラグが欲しかったんです。で、日本側が解放の事実を知るまでの間に取材ができるといいな、と思っていましたが、実際にはかなわなかったんです。
テリー その段階でまだファイティングポーズを取れるなんて、根性据わっていますね。
安田 いえいえ、せめて自分の失敗を取り戻して帰りたかっただけです。
テリー ということは、今後また現地に赴いて取材をされるんですか?
安田 現段階では言えないんですが、方法はいろいろあると思いますので。とにかく今回の事実関係はハッキリさせたい、落とし前はきっちりつけなければ、と思っています。
テリー 彼らの正体を暴くまでは‥‥。
安田 そうです。今の段階では、身代金の有無も含めて本当に何もわかっていませんし、そういう情報なしでは、いただく批判に対して答えることもできませんから。
テリー 実に男らしいね。アサ芸だから、これも言っちゃおうかな。我ながら不謹慎だとも思うんですが、帰国後の記者会見を見ていて「お、安田さんの顔つき、実にカッコイイな。まるで侍みたいだよ」って感じたんですよ。
安田 ハハハ、それはどうも。でも、ひどいヒゲ面だったからじゃないですか。
テリー もともと男前なんだけれど、あの時は特に頬もゲッソリしていて、でもすごくりりしくて、まるで幕末を駆け抜けた侍みたいに見えたんですね。
安田 昔、エキストラなら時代劇に出てみたいな、なんて少し思ったことはありますけれど‥‥(笑)。
テリー そう、僕も安田さんは役者をやればいいのにな、と考えていたんです。
安田 いやあ、お芝居なんて無理ですよ。
テリー 僕、テレビ業界にずっといるから、人の顔を見る目は確かですよ。安田さんはちゃんと信念を貫き通して、たくさんの修羅場をくぐってきた「いい顔」に仕上がっているんです。目つきもいいし、例えば人斬り以蔵の役なんか似合うと思うんだけどなァ。
安田 先ほど人づきあいの話をしましたけれど、人前に出るのも苦手なので、無理だと思います(笑)。でも、テリーさんにそんなふうに思ってもらえただけでも、うれしいです。
テリー もちろん拘束の謎は追っていくとして、今後の予定は?
安田 自分には、今回の件を説明する責任があると思いますので、講演や書籍の形などで、きっちり果たしていきたいと思います。
テリー とはいえ、まずは年末年始、ゆっくり休んでください。今年のお正月はお雑煮が食べられますね。
安田 ああ、久しぶりに食べたいですね。心配させた妻や両親との時間も、大切に過ごしたいと思います。
◆テリーからひと言
いろいろな批判があるのはわかるけど、やっぱり大した人だと思うよ。あの目と存在感でイケると思うから、役者の道もぜひ。