カズの取り扱いで難しいのは監督の立場だろう。横浜FCだけでも、日本人と外国人合わせて12人の指揮官と仕事をしてきた。
「外国人監督の場合は、交渉時にクラブ側から日本サッカー界にとってどんな存在であるか、それをしっかりと説明して、納得したうえで契約するそうです」(サッカーライター)
これまで年齢がカズより年下のケースもあったが、ギクシャクしたのは12年からチームを率いた山口素弘元監督(49)だった。
「もともと日本代表時代にチームメイトで、関係性は悪くありませんでした。ただ、監督となればチームを勝たせるのが優先事項。そのため14年シーズンはカズを構想外として、出場時間は4分のみ。起用法を巡って、クラブ側と激しく対立したのです」(スポーツ紙記者)
すると、クラブはカズを選び、監督は解任されてしまう。最終戦後に行われたセレモニーのスピーチで山口氏は、
「僕の信念とクラブの理念に違いが出てきた。来季以降はクラブの理念を理解した監督や強化部長が来てくれるでしょう」
と、皮肉たっぷりに不満を爆発させたものだ。監督の起用法にクラブが口を出すのはJリーグではあまり見られないが、組織マネジメントの戦略上、人事に「カズ優先」で手放したくないと思わせたのは、処世術のたまものと言えよう。
「ヴェルディ時代は数年間、年俸2億円以上を稼いでいましたが、現在は年俸1000万円台。クラブにとって集客力やグッズ収入などの貢献度を考えたら安いくらいです。昨季はJ1参入プレーオフに進出し、昇格まであと一歩とチーム力は向上しています。カズがいるから勝てないとは言えなくなっている」(サッカーライター)
この先、老体にムチを打って、何歳までピッチを走り続けるのか。
「スポンサー企業のオーナーがカズの大ファンなので、クラブ側がクビ宣告することはありえません。今季でユニホームを脱ぐのか、さらに現役を続けるのか、それは『カズのみぞ知る』ということです」(サッカーライター)
窓際族になっても生き残った、34年目のプロ生活がスタートする。