各球団の幹部候補たる大ベテランたちは、兼任コーチに就任したケースも多い。
ヤクルトの宮本慎也(42)は、2000本安打を達成した昨季限りで引退する意向だったようだが、小川監督たっての希望で残留を決めた。
「宮本にとっては入団時のスカウトが小川監督で、『僕にとっていちばん大切な人』と話すほどの存在です。現役続行に関しても、『監督を日本一にして辞める』と意気込みを話しています。球団にしてみれば、小川監督が勇退してGM職に就き、宮本監督誕生という流れがスムーズに進行すれば万々歳。今キャンプでは帝王学を学ぶためか、宮本が小川監督と密に接している姿を見かけます。一方で、『キャンプの話題がないから、報道陣が少なくて集中できますよ』などと軽口も出て、リラックスしている様子です」(球団関係者)
PL学園で宮本の1学年先輩だったプロ野球解説者・橋本清氏が今キャンプでの状態を語る。
「宮本が記者に冗談で『疲れた。年かなぁ』なんてしゃべってたから、『年だよ!』と言ってやったんですが、若い選手と同じメニューをこなして声も出てるし、元気ですよ。酒もタバコもやらず、自己管理を徹底してきたたまものでしょう。コーチ兼任だろうが、自分がやってやろうという意識が強いですね」
現役最多の2115安打を放っている、広島・前田智徳(41)も今季から打撃コーチ補佐の肩書が付いている。これまでの前田といえば孤高のイメージが強く、とかく近寄りがたい雰囲気があった。
「フロントにもガンガンものを言ってきましたね。ところが、昨シーズンあたりからそれが減り、記者に対しても対応が優しくなっている」( 球界関係者)
ただし、特定の選手にだけは厳しい態度で接しているという。
「昨年、レギュラーをつかんだ堂林に目を光らせているんです。守備の未熟さはもちろん、得意の打撃でも粗削りな面があるところが不満のようで、『ああいうのを減らさないといけねえんだ』と口にしています。その背景には、堂林が用具を雑に扱うこともあるようで、それはすごく怒っていた。キャンプ前から『覚悟しとけや』と威嚇しているのですが、対する堂林は『僕、キャンプが終わっても生きていられるんでしょうか』とビビッています」(前出・球界関係者)
目をかけているからこその厳しい言葉であろう。
そして、日本ハム・稲葉篤紀(40)も今季より打撃コーチ兼任である。WBCの最年長代表候補にもなっているが、チームのために八面六臂の活躍をしているようだ。
前出・スポーツライターが言う。
「さすがにWBCを控えているので、コーチ業はミーティングを免除されたりしています。それでも、オフに退団した、昨年までの中田翔のお目付け役・福良ヘッドに代わり、主砲がテングにならないよう、居残り特打のあとに外野に連れていって素振りを課したり、休日前日には、緊急入団した赤田と大引を『明日は何してんの?道具持ってきた?』とゴルフに誘うなど、周囲に目を配っている。それでいて、1球たりともムダにしない打撃練習で自身のコンディションはすでに仕上がっているようです」