3月20~21日は、12年以来実に7年ぶりとなる、MLBの日本開幕戦が東京ドームで開催される。注目は、マリナーズ・イチロー(45)の凱旋出場である。
ところが肝心のイチローは周知のとおり、オープン戦でまったく結果を残せなかった。開幕シリーズのロースター(選手枠)28人には入ったものの、18打席連続無安打を含む25打数2安打で打率は1割にも満たない8分。直近のイチローを取材した在米スポーツ紙特派員が語る。
「打撃投手を相手にしての練習ではサク越えを連発し、どの同僚よりも打っている。だからバットコントロールの技術はさびていないんです。でも、オープン戦などの実戦で“生きた球”を相手にすると全然打てない。速球には差し込まれ、変化球にはまったくついていけていない。私が見た打席では、変化球を振らされてバットとボールの距離が一目瞭然でした。あんなイチローは初めて見ましたよ」
昨年の5月3日、イチローは残りシーズンをチームに帯同するものの試合には出場できない「球団会長付き特別補佐」としてフロント入りすることを発表。そして今年1月24日に、再びマリナーズと選手としてマイナー契約を結んだ。メジャーに詳しいスポーツライターの友成那智氏が言う。
「昨季は試合前の打撃練習には参加はしていましたが、やはり試合勘は別物、実戦に出続けないと養えない。もちろん不調の原因には、肉体的な衰えもあるでしょう。スイングスピードが遅ければ、当然155キロのスピードボールには対応できません。反応速度や、動体視力も落ちてきている。残念ながら、現時点ではメジャーのレベルに達していないと言わざるを得ません」
「引退」の二文字までチラつくが、本人は現役続行に極めて前向きのようだ。野球の求道者として、わが道を行くイチロー。しかしその思惑とは裏腹に、各方面から「引退包囲網」が張られようとしているのだ。
3月19日発売の週刊アサヒ芸能3月28日号では、イチロー包囲網を巡る「深層」を徹底取材してレポートしている。