第一の「網」を投げつけるのは、相思相愛かに見える球団フロントだ。MLB関係者が明かす。
「今回の東京ドームで引退してほしい、というのがフロントの偽らざる本音です。マリナーズは球団の歴史が浅く自前のスター選手がいないため、イチローをマリナーズのユニホームで殿堂入りをさせるべく復帰させました。つまり、当時から戦力としてはカウントしていなかったんです」
結果的に、開幕前後にケガ人などで外野手が手薄になり、5月頭まで契約続行することになったのは、神風が吹いたにすぎないという。加えて、マリナーズは昨オフ、複数のベテラン選手を放出し「若返り」を断行している。
「ジェリー・ディポトGM(50)はこれまで、イチローの開幕ベンチ入りこそ明言しても、『今季の目的は若手を育てること』と言ってはばからなかった。まだメジャーでの実績に乏しく、チームの不振が自身のクビに直結するGMにとって、イチローの『50歳まで』という願望をくむ余裕はまったくない。『日本の2試合で7安打すれば3試合目のチャンスがあるだろう』ともコメントしましたが、これは肩叩きですよ。イチローの開幕2戦の安打記録は、全盛期でも4本が最高なんですから」(MLB関係者)
次の追っ手はメディアからの「圧力」だ。日本国内では大スターへの忖度もあってかほぼ皆無だが、米国内では「イチロー引退」の論調が一般的だというのだ。
「地元のシアトル・タイムズ紙は〈今回の開幕出場が昨年5月のフロント入り時での“契約”に含まれていた〉と報じており、特別に3人分の枠が増える日本開幕戦はともかく、本国での開幕ロースター入りには懐疑的です。同じく地元のラジオ局・ESPNシアトルでも『過去を振り返るのは飽きた。イチローがいると(地区優勝を果たした)01年を振り返ることになる』などと、現役続行に否定的な声が多く見られますね」(スポーツ紙特派員)
さらにはチーム内にも、引退を歓迎する「反イチロー一派」が存在するというから穏やかではない。在米スポーツライターの証言。
「キャンプ中、2月20日の紅白戦で、イチローが右足に死球を受けて退場するシーンが見られました。幸い大事には至りませんでしたが、この時投げていたのは今季開幕投手を務めることが濃厚なフェリックス・ヘルナンデス(32)。彼にはかつて、マリナーズ第1次在籍時のイチローを追い出しにかかった過去があるんです」
※本記事は週刊アサヒ芸能3月28日号(3月19日発売)に掲載