長年、交遊があった大阪・ミナミのバー「メリケンジャップ」店長の大喜多勝義氏が秘話を明かす。
「酔っ払うと手がつけられなかった。(十八代目中村)勘三郎さんのお母さんのお通夜で、裕也さんと勝新太郎さん、勘三郎さんで飲んでいたら、勝さんのメンソールタバコがなくなったんです。私が自分のセブンスターを出して『吸いますか?』と言うと、横から裕也さんが『チョイチョイチョイチョイ! 勝さんはKOOLだぞ!』って、本気で怒る。勝さんは『いいんだよ裕也! 俺は大喜多ちゃんのが吸いたいんだ』と悠然としていた。それでも裕也さんは『大喜多、お前は気がきかねえなー』ってずっと怒ってたよ。永ちゃん(矢沢永吉)を引き合わせたのは30年以上前だったかな。永ちゃんと今日は何があっても耐えようって話してたら『ヤザワ~腕相撲しよう』って。何度やっても永ちゃんが勝つから、裕也さんはクッソーって悔しがって騒いだのがいい思い出です」
バーの天井には、泥酔した裕也が「ロッケンロー」と雄たけびを上げ、突き上げた拳であけた「ロックの穴」が今でも残っている。
生涯3度の逮捕歴がある裕也。初回は77年の大麻取締法違反だった。
「初犯から2年後には若松孝二監督の『餌食』(東映)で主演する変わり身の早さ。しかも、この映画で裕也さんが演じた役柄は、マリファナを吸うロック歌手。レゲエ歌手を売り出そうとし、芸能事務所に殴り込みをかけるというものでした」(芸能デスク)
そして、2度目が83年。酔っ払って包丁片手にウドー音楽事務所に殴り込み、「外タレばかりじゃなく、日本人ロッカーを使え」と訴え、銃刀法違反で逮捕されている。
まさに内田雄也(=本名=)はロック歌手・裕也を生涯かけて演じ続けていたのかもしれない。
死の瞬間までロック魂を貫いた稀代のロッケンローラーの偉業に合掌!