男子バスケットボールの日本代表で、米ゴンザガ大学のエースとして活躍する八村塁が、悲願のファイナル4進出を逃した。現地3月30日に米アナハイムで開催されたNCAAトーナメントの準々決勝(エリート8)にて、ゴンザガ大はテキサス工科大に69-75で惜敗。カレッジバスケ界で究極のステージとされるファイナル4(準決勝以上)に駒を進めることはできなかった。
そのゴンザガ大学は2年前、同校で初となるトーナメント決勝に進出し、八村もトーナメント戦では日本人としては初となる試合出場を果たしていたが、ファイナル4では出場機会ゼロ。それゆえ今季はファイナル4での初プレーに期待を懸けていたが、その夢は直前でついえることとなった。
一方で八村を巡っては、6月末に行われるNBAのドラフトで1巡指名が期待されており、各モックドラフト(模擬ドラフト)ではNBCスポーツが全体11位、ESPNでは全体13位、ブリーチャーリポートでは全体14位といずれも八村の1巡指名を予想している。日本人選手として史上初の栄誉を目前とする八村だが、今回の準々決勝敗退により、その期待に黄信号が灯ったというのだ。米バスケ事情に詳しいスポーツライターが指摘する。
「一般的に、NCAAトーナメントの結果はドラフトの順位にさほどの影響を与えないとされています。15年、16年と2季連続でMVPに輝いたウォリアーズのステフィン・カリーでさえ、学生時代はエリート8止まり。トーナメント戦よりも普段のリーグ戦のほうが選手の実力を見極めやすく、そこでのプレーで評価も決まるとされているからです。しかし八村の場合は、その一般的な事情に当てはまらないのです」
その理由は決して、八村が日本人だからではないという。むしろ、彼が所属する名門のゴンザガ大に理由があるというのだ。前出のスポーツライターが続ける。
「ゴンザガ大の所属するウェストコースト・カンファレンスは西海岸の私立大学が中心で、他にはこれといった強豪大学のない弱小カンファレンスとの評価が一般的。そのため今季はカンファレンス内で16戦全勝を達成するも、快挙とは受け止められていません。またシーズン戦で全米トップ25校との対戦はデューク大、テネシー大、ノースカロライナ大の3試合しかなく、ゴンザガ大の選手がNBAのスカウトにアピールするにはNCAAトーナメントでの活躍が必須と言われているのです。その視点で言うと、NCAAトーナメントでは3連勝を飾ったものの、八村自身は2回戦のベイラー大戦で6得点5リバウンドと精彩を欠く場面も。これで評価を落とし、まさかの2巡指名に落ちたら日本のバスケットボールファンは落胆することでしょう」
ゴンザガ大からの1巡指名選手は過去7人おり、名人とうたわれたジョン・ストックトンが知られるほか、ここ10年では4人の1巡選手を輩出。ここに「Rui Hachimura」の名前が続くのか、期待の高まるところだ。
(金田麻有)