バスケットボールは男女ともに東京五輪の出場を確実にしていない。ホスト国は自動的に出場というアドバンテージを国際バスケットボール連盟(FIBA)が認めない方針を決めたからだが、そのため、躍起になっていたのが日本バスケットボール協会のエグゼクティブアドバイザーの川淵三郎氏だ。
「東京五輪出場を確実にするには、まず、ワールドカップに出場しなければなりません」(体協詰め記者)
その予選で、日本はいきなり4連敗を喫した。その後、破竹の8連勝で第一関門は何とかクリアしたものの、日本国内からはシビアな声も聞かれた。
「帰化選手のニック・ファジーカスの活躍によるものです」(前出・体協詰め記者)
ファジーカスはBリーグ初代MVPで、得点王にも輝いた。日本の連敗がストップしたのは、このファジーカスと、アメリカのゴンザガ大在学中の八村塁(ゴンザガ大)が合流後にストップした。八村は父親がベナン人で、高校までは日本で過ごしたが、ハイレベルなバスケを学ぶため、アメリカに渡った(日本国籍)。こうした外部補強で予選突破を果たしたため、「日本のバスケはまだ強くなっていない」という厳しい評価も聞かれた。
「海外合宿を行うなど、代表チームの強化に日本協会は必死にやってきました。一方で、まだ代表になっていない日系人の発掘やスカウティングも続けてきました」(特派記者)
帰化選手を日本代表入りさせる方法は、Jリーグチェアマン時代にも見せている。川淵氏は一部メディアのインタビューに応じ、「カタールの首都ドーハは、私にとってどうしても『ドーハの悲劇』を思い出してしまう場所。1993年にサッカー日本代表がイラクに敗れて、W杯初出場を目前で逃した悲しい記憶だったが、今回、バスケット日本代表が『ドーハの歓喜』に塗り替えてくれた」とも話していた。バスケの決戦の地も同じカタールだったのも因縁めいたものを感じさせるが、こんな調子では、たとえ東京五輪に出場できたとしても、心から応援できないという人も出てきそうだ。
(スポーツライター・飯山満)