日本の女子卓球チームにとって、今回の世界選手権は“年の功”を思い知らされる結果ともなった。
「4月末まで行われた今回の世界選手権でもっとも注目されたのは、女子ダブルスで決勝戦まで進んだ伊藤美誠でした。早田ひなとのコンビで勝ち上がり、金メダル獲得なら52年ぶりの快挙でしたから」(テレビ局スポーツ部員)
“微妙な判定”にも泣かされた。第5ゲームで早田のサービスエースが決まったかと思ったら、審判は「ネット」のジャッジを…。伊藤は会場にあった大型ビジョンを指して、リプレイ映像を見るように促したが、無視された。そのまま試合も落としてしまい、試合後も「絶対に違うと思った」と不満をこぼしていた。
「決勝戦の相手は中国。審判が中国系マレーシア人なので、試合後、単なる誤審ではなく、“意図的な何”かがあったのではないかとあらぬ疑いまで掛けられていました。勝利した中国チームも喜び半減です」(前出・スポーツ部員)
伊藤の今後の海外試合にも影響が出そうな雰囲気だ。これに対し、審判団を味方につけたのが、石川佳純だった。
石川は伊藤たちより2日早く行われた混合ダブルスで銀メダルを獲得した。その決勝戦を戦う3時間ほど前、石川は3回戦を戦った。その3回戦の試合中だった。石川の放ったショットがビミョ~なところに落ち、いったん「イン」の判定が下されたが、石川は「相手の得点です」と審判に申し出たのだ。このクリーンな態度に会場が拍手を送ったが、中国メディアの東方網、人民日報までが絶賛していた。
「石川は審判と会場を味方にしたというか、好印象を世界中に与えました」(関係者)
日本の卓球協会は伊藤・早田組が被った“誤審”について、正式に国際卓球連盟(ITTF)に抗議するという。伊藤の猛抗議と、石川の潔さ。どちらが自分のためになるかは言うまでもないだろう。明暗こそ分けたが、それだけ誤審の多い大会だったとも解釈できる。東京五輪の代表争いは体力勝負となるため、石川は高校を卒業したばかりの伊藤、平野美宇にやや遅れを取っていた。しかし、誤審を味方に変えることのできる石川の老獪さは、もっと評価されてもいいのでは?