全日本卓球の女子シングルス決勝で伊藤美誠が優勝した。2年連続でダブルス、混合ダブルスの計3種目で頂点に立ったため、女子では史上初となる「連続3冠」も達成された。そんな“伊藤時代”の到来を受け、卓球界では“27のジンクス”が囁かれていた。
「国内では石川佳純が“女王”と位置づけられてきました。伊藤だけでなく、平野美宇もさらに成長しており、石川はヤバイ立場に陥りましたね」(体協詰め記者)
伊藤、平野が来たる東京五輪の核となり、年長の石川を支える布陣となりそうだが、これが“27のジングス”なのだ。どういうことか。
12年・ロンドン五輪で日本の卓球女子をまとめたのが平野早矢香で、16年・リオデジャネイロ五輪は福原愛。2人とも「27歳で最後の五輪」を経験しているのだ。くしくも、石川佳純は27歳で東京五輪を迎えることとなり、「3人目になる」と予想する向きが関係者の中で増えつつあるのだ。
「卓球会場では自身の最初の試合が終わったら、次の試合まで6時間も『間』が空いてしまうことも珍しくありません。そういう場合、伊藤はタオルを顔に乗せて寝ているんです。平野もスマホをいじるなどして、リラックスしています」(前出・体協詰め記者)
石川はそういう気分転換ができない。古参の取材記者によれば、「昔はやっていた」とのことだが、経験を積み重ねるにつれ、突き上げてくる若手の怖さも知り、息が抜けなくなったのだ。“27のジンクス”が東京五輪でも繰り返されたとしたら、気がかりなのは、精神的疲労ということだろう。“居眠りの新女王”に、石川はさらに気疲れしてしまいそうだ。
(スポーツライター・飯山満)