アメリカ第一主義を鮮明にするドナルド・トランプ米大統領が、またもや新たな政策を打ち出した。外国人に永住権を付与する“グリーンカード”の制度を廃止し、新たに「ビルド・アメリカ・ビザ」を始めるというものだ。
アメリカでは毎年、110万人にグリーンカードが発給されているが、その多くは血縁関係を頼ったものか、もしくは“抽選でアメリカ永住権が当たる”ことで知られる「移民多様化ビザ抽選プログラム」によるもの。新規発給者の中でアメリカ政府が求めるような高い技術を備えた人材は12%に過ぎず、新たなビザ制度ではこれを57%に高めることを目標にしているという。
まだ検討段階とはいえ新たなビザ制度が開始されると、打撃を受ける外国人は少なくない。ただ日本人の場合、親戚を頼って永住権を求める人がほとんどいないうえ、ビザ抽選プログラムが当たる人ももともと少ないことから影響はほとんどないように思われる。だが、今回の発表に戦々恐々としている日本人もいるというのだ。週刊誌記者が指摘する。
「トランプ大統領の狙いは明確で、アメリカに資する人材なら歓迎し、負担になる物は排除するということ。そのため新しい制度では若さと学歴が重視されています。この方針が進めばいずれは他のビザでも発給条件が厳しくなり、日本人のアメリカ移住が難しくなるとの懸念も少なくありません。その余波を大きく受けるのが、アメリカに拠点を移した芸能人だというのです」
近年、アメリカに進出した芸能人と言えば、ピース・綾部祐二と渡辺直美を真っ先に思いつく人も多いだろう。彼らは芸能人として高い知名度を持ち、その活躍を評価されてビザを取得した形だが、今後のビザ更新ではアメリカ側の方針転換がマイナスに働きかねないというのだ。
「年齢面では綾部はすでに41歳ですし、31歳の渡辺も決して若くはありません。また学歴面では綾部は高卒、渡辺は中卒で、普通なら大卒以上が必須と言われるアメリカビザの取得では障害となりえます。芸能人や野球選手は“傑出した能力”を評価されることで学歴に関係なくビザを取得できますが、その評価軸が今後、変わる恐れもあり得るのです。そのため悪くすると、ビザが更新ができず、強制帰国ということになりかねません」(前出・週刊誌記者)
同様の心配は、お笑い芸人以外にも広がるという。中でも危惧されるのはファッションディレクターとしても活躍するモデルの梨花だ。週刊誌記者が続ける。
「梨花のハワイ移住に際しては芸能ビザではなく、自身がプロデュースするブランドの親会社がスポンサーとなり、駐在員用のビザを取得したと言われています。しかし彼女もまた学歴は高卒であり、業務渡航ビザで必須とされる大卒の条件を満たしていません。それが次のビザ更新時に問題視されれば、子供を連れての帰国を余儀なくされそうです」
綾部や渡辺、そして梨花にしろ、日本で得た収入をアメリカに落としているという意味で、現地への貢献度は大きいはず。アメリカ政府にもぜひ、そういった事情を酌んでほしいものだが…。
(金田麻有)