プロ野球セ・パ交流戦が始まった。リーグ別の勝利数では9年連続でパ・リーグに軍配が挙がっている。今年はセ・リーグのメンツを掛けた逆襲も予想されているが、政治的な駆け引きでは、すでにパ・リーグが劣勢に立たされていた。
「ドラフト会議に関するルールが改められました」(スポーツ紙記者)
どういうことかと言うと、2巡目以降のドラフト指名はいわゆる「ウェーバー制」だが、15年以降は、「交流戦で勝ち越したリーグの最下位チームからスタートする」ことになっていた。パ・リーグは9年連続で勝ち越しているため、セはこのアドバンテージを1回も得ていない。かなわないとあきらめたのか、12球団の代表者が集まる会議の中で変更を持ち出した。
「2巡目の指名はウェーバー制で、交流戦で勝ち越しに成功したパ・リーグ最下位チームから始まっていました。パ6位、セ6位、パ5位…という順番です。それを今期から交流戦のリーグ勝利数に関係なく、セ・パ両リーグで1年おきに交互に入れ替えることに改められたんです。2巡目以降の1番クジをいつも取られていたからといっても、セ6球団のドラフト戦略に大きな影響は出ませんでした。でも、今年のドラフト候補を見ると、例年とは異なるので、影響が出るかもしれません」(前出・スポーツ紙記者)
160キロ強のストレートを投げる大船渡の佐々木朗希、星稜・奥川恭伸、横浜・及川雅貴、明大・森下暢仁など今年も好投手が多いが、プロの実戦レベルに到達している野手、特に内野手が少ないのだ。
将来性で高校生野手に切り換えるか、それとも投手中心の指名で野手の指名を見送るか…。それは入札抽選の1巡目の指名を終え、残った指名候補のメンツを見て決めるというのが、現時点での各球団のドラフト戦略だ。
「近年、有名なドラフト候補はパ・リーグの球団が指名に成功しています。佐々木、奥川らに対し、『自分たちの指名が失敗したら、せめてセ・リーグに』と、口にするセ球団職員も少なくありません」(球界関係者)
こうした情報を聞かされると、パ・リーグに対する敵がい心はあるようだ。ドラフトに関するルールを変えてきた理由もわからなくはない。そもそもセ・リーグは交流戦の撤廃論者でもある。しかし、今ふたたびそれを主張すれば、ファンは「パにかなわないからやめたいんだ」と思うだろう。
(スポーツライター・飯山満)