DA PUMPや三浦大知らを擁する老舗芸能事務所のライジングプロダクションが、お笑い部門の「ライジング・アップ」を設立。所属タレント第1号のお笑いコンビ・マッハスピード豪速球が6月27日に会見を行った。同コンビは昨年5月にオフィス北野を退社し、フリーランスで活動していたという。そのライジングプロはほかにも観月ありさや荻野目洋子、朝日奈央といった女性タレントが多数所属し、ガールズグループやロックバンドも抱える大手だ。そういった大手事務所のお笑い事情について、芸能記者が語る。
「大手の事務所が新たにお笑い部門を立ち上げた成功例としては、97年のサンミュージックが知られています。サンミュージックにはカンニング竹山や小島よしお、メイプル超合金といった人気者が多数所属し、いまやお笑い業界では欠かせぬ存在に成長。その一方で誰もが知る大手芸能事務所もお笑い部門を立ち上げたものの、この5月に部門ごと廃止されてしまいました。それゆえライジングの挑戦がどっちに転ぶのか、業界中から注目されている形です」
その、「お笑い部門が消滅した事務所」とはどこか。芸能記者が続ける。
「美の総合商社こと、オスカープロモーションです。オスカーは07年にバラエティ部門を立ち上げ、数十組のお笑い芸人が所属。事務所定期ライブも開催していましたが、去る5月18日に行われた“元オスカーお笑いライブ最終回”でほぼ全員がフリーになりました。今では福山雅治のものまねで知られるみっちー程度しか残っていません。最近出番の増えている“あかつ”も一時所属していましたが、14年には退所しており、テレビで活躍する芸人はほぼ皆無という状態だったのです」
このオスカーお笑い部門の解散により多数の芸人がフリーとなり、ライジング・アップに合流するという観測もあるようだ。しかし芸能界でも有数の大手であるオスカーがなぜ、お笑い分野では成功できなかったのだろうか。
「業界で噂されているのは育成力の不足ではないかということです。モデルや女優の育成では高い実績を持つオスカーですが、お笑いはまったくの異業種。しかも業界の構造上、モデルと違って才能や美貌があればいきなり売れるということもなく、じっくりと若手を育てていく必要があります。その点、サンミュージックは大ベテランのブッチャーブラザーズを講師役に起用しましたし、ホリプロは渡辺正行の手掛ける事務所をホリプロコムとして子会社化するなど、最初から若手の育成システムを構築していました。しかしオスカーでは全体をまとめあげるベテラン芸人が不在で、芸人の育つ土壌を醸成できなかったのではないかと言われているんです」(前出・芸能記者)
そんな前例を他山の石としたのか、ライジング・アップではビートたけしが後見人的な立場にいるとの観測もある。そもそもマッハスピード豪速球がオフィス北野出身であることも強みの一つだろう。オスカーの失敗も決してムダにはならなかった、ということかもしれない。
(金田麻有)