いつの日かのこと、TBS系「情報7days・ニュースキャスター」定例打ち合わせを終え、殿を見送った後、駅へと向かう帰路、携帯がブルッと振動して、ディスプレイ画面には、〈着信・殿〉と表示されたのです。
〈えっなんで? ついさっきまで一緒だったのに‥‥。なんか俺しくじったか?〉と、ややパニックになりながらも、すぐさま気合いを入れて電話に出ると、
「おう、たけしだけどよ。今いいか? 明日の和田アッコのイタズラだけどよ、俺の龍三(『龍三と七人の子分たち』たちね)のチラシあんだろ。あれのよ、藤竜也さんの顔のところに和田アキ子の写真貼ってよ。『和田アキ子と七人の子分たち』ってやろうと思ってんだけど、どうだ?」
と、大変無邪気に、“明日のイタズラの件”について相談を持ちかけてきたのです。〈なんだ! そっち!? よかった~〉と、思っていると、殿は“今後のイタズラ”についてまでたっぷり語りだし、結局、都合17分程もしゃべり続け、電話をお切りになったのです。
ここで、“殿が今熱心に取り組んでいる、和田アキ子さんへのイタズラ”について説明しましょう。
土曜22時からの生放送「ニュースキャスター」出演のため、毎週TBSへやってくる殿。で、本番までの待ち時間に、殿より後の生放送「S1」でTBSにやってくる爆笑問題・田中さんに対し、2年程前からさまざまなイタズラを施しているのは当連載でも何度か書きましたが、そのイタズラが発展し、翌日曜昼の生放送「アッコにおまかせ」でやはりTBS入りする和田アキ子さんへのイタズラも開始されたのです。
ちなみに殿が最初に和田さんにやらかしたイタズラは、テレビ局の入口に張り出された〈和田アキ子様・○○室へお入り下さい〉といった、楽屋への案内の張り紙を〈アッコ・デラックス様・○○室へお入り下さい〉といった張り紙にすり替えたのでした。で、このイタズラを受けた和田さんは、翌日の生放送で、“たけちゃんにこんなイタズラされたわ”と、大変うれしそうに番組で紹介。そして、「和田さんが番組で殿のイタズラをうれしそうに紹介されてましたよ」と、方々から報告を受けた殿は、
「じゃーしばらくはこっちのイタズラに力を入れるか!」
となり、それ以降、毎週土曜TBSの楽屋では、田中さんへのイタズラに加え、「和田アキ子さんへのイタズラ物制作」も新たな日課となったのです。
ちなみに、通常なら22時からの生放送のため、20時半にTBSに入ればいい殿が、“じゃんじゃん増えてすっかり義務化しているイタズラ”のため、ここ最近19時にはTBSに入っています。
どんだけマジメなのでしょうか! そんな状況に、
「しかしやること増えたな~。これじゃ時間いくらあっても足りねーな」
と愚痴ってもいました。誰の目から見ても足りなくしてるのは殿自身なのですが‥‥。
ビートたけしが責任編集長を務める有料ネットマガジン「お笑いKGB」好評配信中!
◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!