7月27日にスタートしたNHKの新ドラマ「だから私は推しました」が、アイドルヲタからのブーイングを浴びているという。同作は一人のOLが地下アイドルと出会ったことで、運命が変わっていく様を描くもの。番組には“NHK発”の地下アイドルグループ「サニーサイドアップ」が登場し、重要な役割を担っている。
そのサニーサイドアップは番組開始に先立ち、7月22日に公式ツイッターをスタート。メンバーにはゼクシィの12代目CMガールを務める女優の白石聖や、アイドルグループの経験を持つ人気グラドルの天木じゅんを起用している。さらにはデビューシングル「おちゃのこサニサイ」のMVも公開され、楽曲も動画もさすがNHKというレベルの高さ。これならブーイングどころからヲタからの絶賛を浴びそうなものだが…。アイドル誌のライターがささやく。
「正直、クオリティ面の不満はまったくありません。ヲタが着ている公式Tシャツにはメンバーの直筆サインが入っていますし、《タイガー!ファイヤー!》というMIXも正確。ヲタがサイリウムではなくペンライトを振っている点も安易なアイドルドラマとは一線を画しており、アイドル文化の再現度は高い。しかしながらヲタたちが許容できないのは、そのサニーサイドアップを“地下”と呼んでいる点です。なぜNHKがいまさら“地下アイドル”という蔑称を使うのか?ヲタの間には《結局はアイドルを分かってないんだな》という諦観も広がっていますね」
アイドル業界では“地下アイドル”という用語には否定的で、今では“ライブアイドル”や“インディーズアイドル”という呼び方が一般的。ごく一部にはあえて地下アイドルを自称するケースもあるが、本ドラマでのサニーサイドアップのように、MVを公開するレベルのグループが“地下アイドル”を名乗ることはもはや有り得ない状況となっている。
「しかし世間ではまだ、AKBや坂道、ももクロなどの超メジャー系グループ以外は一緒くたに“地下アイドル”と呼ぶ、悪しき風習が残っています。ひどい実例としては17年に俳優の山田孝之が5人組グループ『つりビット』とのコラボ写真をSNSで公開した時、多くのメディアが《地下アイドルと記念撮影》と報じました。そのつりビットはTBS系の音楽出版社・日音が手掛け、メンバーは全員がモデル系事務所に所属。しかも山田が訪れたのは1000人超のキャパを持つ赤坂BLITZでのワンマンライブだったのです。赤坂BLITZでのワンマンが満員になっても“地下アイドル”扱いなのは明らかに形容矛盾のはず。そんな偏った認識を、アイドルをテーマにしたドラマを作るNHK自身が発信する姿勢には、呆れるよりほかありません」(前出・アイドル誌面ライター)
本ドラマの脚本を手掛ける森下佳子氏にはミュージカルや劇団の経験もあり、芸能界に対する理解は深いはず。それなのになぜ本作では侮蔑的なニュアンスを持つ“地下アイドル”という用語を使ったのか、納得のいく説明が待たれるのではないだろうか。
(金田麻有)