みっちょんの愛称で親しまれた。同期に黄金のアイドルがひしめいていた85年にデビュー。キュートな八重歯が印象的だった芳本美代子(50)のことである。
──85年デビュー組を挙げると、南野陽子、斉藤由貴、本田美奈子、中山美穂、浅香唯、森口博子、井森美幸、そしておニャン子クラブと、まさしく花盛り。
芳本 そうでしたねえ、昭和最後のアイドル時代でしたね。歌番組も多かったですし、楽屋で一緒にいると、やっぱり井森ちゃんは当時からおもしろい子でした(笑)。あと博子ちゃんは福岡でのオーディション番組で一度会ったことがあって、私の5カ月後にデビューした時に感激しましたもん。
──それぞれ息の長い活動を続けていますね。
芳本 他にも、同期だと佐野量子ちゃんや松本典子ちゃんも仲よかったです。
──山口県宇部市から上京した16歳の少女が「白いバスケット・シューズ」でデビュー。以降、ベストテン番組に入るヒット曲も何作かありました。
芳本 正直に言うと、田舎育ちのイモ姉ちゃんがどうなっていくのか、というのが当時のアイドル全般だったと思うんです。スタッフやファンの方に「育ててもらう」という感覚。だから急にきれいになった子に「整形疑惑」が生まれたりしましたが(笑)、成長の過程を見ていたんでしょうね。
──過密スケジュールだったと思いますが、いちばん大変だったのは?
芳本 当時って、シングルが3カ月に1枚は当たり前で、アルバムが半年に1枚。さらに企画物のアルバムも入ってくるので、何が大変かと言ったら歌詞を覚えることですね(笑)。メロディはまあまあすぐに覚えるんですが、あまりのリリースラッシュに歌詞には苦労しました。今、復刻盤のCDを聴くと、レアな曲は「こんなの歌ってたっけ?」と思いますもん(笑)。
──アイドルとして成長していくことで、意識の変化はありましたか?
芳本 やっぱりハタチくらいになるとピアスを開けたりパーマをかけたり、車の免許を取りに行ったりしました。少しずつ自分の殻を破っていく感覚でしたね。
──チャームポイントの八重歯がなくなったのは?
芳本 21歳の時です。舞台に出るようになって、それで発声など考えて抜いたほうがいいなと。ただ、その当時、連ドラに入っていたんですよね。突然、画面のつながりが別の形になってご迷惑をかけました。
──昨年はテレビ特番で28年ぶりにデビュー曲を披露。そして秋にはイベントが控えているとか。
芳本 私のデビュー35周年を記念して、10月16日から「秋声のリフレイン」という舞台をやります。これからいい形に作っていければいいなと思います。