全国4000万人のプロ野球ファンの皆さん、こんにちは。新連載第1回目の前号は特別版として、阪神の昨年を振り返り、今年の展望をお話ししました。引き続き、阪神タイガースを中心としたプロ野球の解説をしていきます。よろしくお願いします。
さて、ペナントレースが始まりました。やはり注目は今シーズン、阪神がどうすれば宿敵巨人を倒せるのかでしょう。昨シーズン、巨人の総得点はセ・リーグで唯一の500点台。防御率も2.16とリーグトップ。この数字だけ見ても、巨人が頭一つ抜け出すのは明らかです。何度目かの黄金期に入った巨人に対し、阪神がどう戦うべきか。そこにはポイントが5つあります。それを踏まえれば、阪神の巨人戦での勝利がグッと近づくはずです。
【1】交流戦前に巨人を叩け
巨人の1つ目の穴。それが交流戦前の4月、5月の期間です。巨人はWBCで阿部、坂本、杉内、澤村といった7人の主力選手たちを出場させていました。プエルトリコ戦から開幕までの限られた時間の中で本調子に戻すのは、恐らく無理でしょう。けれど、それも5月まで。交流戦が始まる頃には万全な状態で試合に臨んできます。
阪神は、主力選手たちが目を覚ます前に巨人を叩き、多くの貯金を作っておく必要があります。これが、今年の巨人攻略の大きな枠組みになるのです。
【2】最低でも勝率5割キープ
阪神がリーグ優勝をするためには、序盤戦で最低でも勝率5割をキープすることが必要です。仮に5割を切ってしまうと、その貯金は結果として巨人に流れる。この構図はシーズンを通して続いてしまいます。
それを防ぐためには一、二軍の投手をうまく入れ替え、岩田や榎田を6勝4敗や7勝5敗と、常に貯金を持てる選手にすること。ただし、投手を二軍に落とすのはそれ相応の勇気がいります。二軍に落とされれば選手のプライドも傷つきますからね。そういった和田監督の英断が、その後の勝敗を大きく左右することになるでしょう。
【3】エース同士の戦いを回避
巨人の杉内、内海、澤村の3人は皆、他球団であればエースとして投げられる実力の持ち主。対して阪神のエースは能見。今シーズン、阪神と巨人の試合は火、水、木の3日間が多く、お互いに「裏ローテーション」で戦わなければいけません。そこで、巨人戦の裏ローテーションに能見を回し、1日は確実に勝てる日を作るわけです。
実際にこの作戦で効果が出たのが昨シーズンの日本ハムです。栗山監督は開幕投手に斎藤佑樹を指名し、エースの武田勝を裏ローテで投げさせました。落合監督の1年目も川崎を開幕投手に指名し、川上というエースを相手エースにぶつけないようにしました。この年、川上は最多勝を獲得し、10の貯金を作りました。
同様に阪神もエース同士の戦いをさせないことで貯金を増やし、巨人との差を縮めていくことが絶対条件です。そういったずるいやり方はなかなか実行しづらいですが、やるべきです。能見はWBC出場の影響で開幕3連戦のローテから外れました。一度、最多勝を争わせるような結果を出させてから再び開幕投手に指名するのがいいでしょう。