「もう…負けるのはイヤや」
初回から振り絞るようなセリフを見せた。それは、9月15日に13.8%の高視聴率で最終回を迎えた「ノーサイド・ゲーム」(TBS系)で、ひときわ鮮烈な印象を残したチーム1のベテランで、精神的な支柱である浜畑譲を演じた廣瀬俊朗だった。
「本物のラガーマンを固めたキャスティングでも、浜畑役の廣瀬は別格。元ラグビー日本代表で、12年にはキャプテンにも選出されています。ちなみに、最終回にゲスト出演した『嵐』の櫻井翔とは、慶應大学時代から友人の間柄です」(スポーツ紙放送担当記者)
お世辞にもイケメンとは言い難い顔立ちだが、数々の試合で修羅場を乗り切った迫力は、回を追うごとにネット上をにぎわせた。
〈演技経験ゼロとかマジなん?〉
〈浜畑さんの演技力がバケモノ〉
ドラマでは、年齢と闘いながら万年最下位に沈むチームを常勝軍団に変えるキーパーソンとなる。実際、日本代表時代の廣瀬は、試合に出場する機会が激減しても応援VTRを作成してメンバーを鼓舞するなど、ドラマ以上に「縁の下の力持ち」を果たした。
「廣瀬が起用されたのは、『半沢直樹』(13年)以降、池井戸潤原作ドラマの演出を務める福澤克雄氏が慶應大学ラグビー部の先輩だったことから説得されました」(前出・放送担当記者)
現在、廣瀬は「俳優転向」は明確に宣言せず、日本で初開催のラグビーW杯の解説に追われている。9月に上梓した「ラグビー知的観戦のすすめ」(角川新書)は、発売直後に増刷がかかるほど注目されている。それでも、とベテランの演出家は言う。
「東映のヤクザ映画が全盛の時代なら真っ先にスカウトしたいほど、全身に迫力をみなぎらせている。アスリート出身の俳優としては、赤井英和に衰えが見えているだけに、各局とも囲っておきたい逸材ではないでしょうか」
W杯でさらに知名度が上がれば、争奪戦はさらに過熱しそうだ。