健康診断でコレステロール値が高かった。「このままいくと動脈硬化になり、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こすリスクがあります」と医師から忠告を受けたことがある人は多いはず。
動脈硬化とは血管壁が厚くなったり硬くなった状態。食べすぎや飲みすぎなどが続き、血管内側にコレステロールなどの脂肪が付着し、血管が狭く硬くなることで、血液の流れが悪くなるのだ。
動脈硬化のリスクを総合的に判断する指標が「Non-HDLコレステロール」。この基準範囲は90~149mg/竕で、150~209になれば要注意、210以上で異常となる。
この動脈硬化、中高年が注意すべきものだと思っている人は多いだろう。だが、動脈の変化は10歳前後から進んでいて、3 0歳頃には動脈硬化の徴候がすでに現れてくる。リスクは若い頃から着々と積み重ねられているわけだ。
原因として糖尿病や高血圧、高脂血症、肥満、喫煙などが挙げられるが、恐ろしいのは、動脈硬化に自覚症状がないこと。そのためにも日頃から状態をチェックすることが必要だ。検査方法としては血圧脈波検査のCAVI(キャビイ)とABI(エービーアイ)が挙げられる。CAVIは動脈の硬さを、ABIは 下肢動脈の狭窄を調べることができる。
検査自体は、ベッドに寝て両脚と両腕で血圧を測るだけでできる簡単なもの。CAVIは9.0を超えると心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなり、ABIは0.9を下回ると足の動脈が詰まる閉塞性動脈硬化症が疑われる。
リスク軽減のためには、禁煙と適度な運動、食事改善が欠かせない。食事も納豆や青魚、梅干しや酢などのクエン酸、赤ワインやブドウ、緑茶、ココアなどのポリフェノール、ビタミンを積極的に摂るように心がけたい。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。